13.わが子自慢は親の常
『販促』

本は出版しただけじゃ売れません。日本では年間7万8千種の新刊本が出ています(2010年)。1日平均で200以上。一方で、書店の数は、約1万5千店舗です(2011年)。 新刊本を全て店頭に置くことなど不可能で、各書店は売れそうなもの、価値がありそうなものに絞って仕入れ、売れ残ったら躊躇なく返本します。この過酷な現実に立ち向かうため、著書のPR・販促活動が重要となります。

申し訳ございませんが、ほんたまで可能なサポートは書籍の制作までで、販促に関するサポートを行っておりません。 販促に関しては版元の編集者を通じて、営業部の方と連携できると心強いですが、実際にはなかなか難しいかもしれません。 著書の販促活動に関して、一般的なところをガイドさせていただきます。

献本・ニュースリリース

友人・知人のメディア関係者や、社会的影響力の高そうな人(インフルエンサー)に、著書や手紙を送付して、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネットで紹介してもらうことを目指す販促方法です。 ここで注意していただきたいのは、『記事は広告物ではない』という事実です。ただ単に「こんな本が出ました」との事実をそのまま記事にするのは、よほどの有名人の著書か、その出版によほどのニュース性でもなければ難しいはずです。 そこで、献本する相手自身やメディアの向こう側の人々が、興味を持ちそうな目新しいニュースも一緒に添えて、そのニュースと今回の出版を結びつけるような文案を提供する工夫が必要です。

イベント開催

著書の内容に関連した著者のトークショーや実演会などを開催し、そこへ集まったお客さんに著書をさりげなく(大々的でも構いませんが)アピールする手法もあります。 版元の全面的な協力を得られれば、イベントはどうにか実現できるでしょう。でも、場所や集客のあてさえあれば、自前でイベントを企画して開催することも不可能ではありません。 このイベント開催そのものを、著書に関連したニュースとして各マスメディアに送付する考え方もありますが、著者が無名だと採り上げてもらうのは至難でしょう。プライドを捨てて、知り合いの大物有名人を招いてのトークセッションを行うなら、注目するメディアも出てきそうです。

書店まわり

その名の通り、書店に飛び込んで1軒ずつ挨拶していく、とても泥くさい販促方法です。書店スタッフの心を直接掴めることもあれば、戸惑われるだけの場合も多いです。書籍の現物だけでなく、名刺・POP・注文用紙の3点セットを、書店スタッフに渡せるように準備しておきましょう。 店長などの売り場責任者に会えればラッキー。新聞や雑誌、テレビなどで採り上げられた実績があるなら、そのことがわかる資料もお渡ししたほうがいいです。 精神的にも肉体的にも難易度が高いので、できるだけペアで書店まわりすれば、少しは気が紛れます。3人以上連れだってゾロゾロ行くと、かえって印象が悪くなるかもしれません。また、書店まわりをする際には、必ず版元さんにも一言連絡を入れておきましょうね。

販促がうまくいって、読者の皆さんに好評で、増刷もあるということでしたら、版元から「もう一冊、いかがでしょう」と、声がかかるかもしれません。 夢の刊行を果たせて、ホッと一息ついた後に、もう一踏ん張り、頑張ってみましょう!

絵と文/長嶺超輝 協力/しらくまももこ