9.餅は餅屋
『編集会議/営業会議2』

書名(タイトル)と、装丁(カバーや帯などのブックデザイン)を決めるのも、編集者による重要な編集作業のひとつです。 装丁専門のブックデザイナー(装丁家)も、出版業界で活躍しています。

ほとんどの場合、書名と装丁、そして初版部数や単価は、版元に最終決定する権限があります。 著者のアイデアや意向も尋ねられるかもしれませんが、希望がそのまま通ることは少ないと思った方がいいでしょう。 版元は、どんな書名を付けて、どんな装丁に仕上げれば、店頭で目立って客の注目を引きつけられるか、初版を何千部刷れば損をしないか、営業・マーケティング部門を中心にデータや経験則を握っています。売り上げに直結しかねない事柄の決定は、あなたの企画に数百万円の投資をしている版元に任せたほうがお互いのためなのです。

特に新書は、版元ごとに共通の装丁を使っていますから、あなたの出版企画の独自性を表紙で存分にアピールできる要素は、書名しかありません。新書の編集者は、インパクト感のある書名の模索に心血を注ぎます。

絵と文/長嶺超輝 協力/しらくまももこ