7.八面六臂
『編集』

大変でしたけど、原稿、ようやく書き上がりましたね。お疲れ様でした!
ここからは編集者が主役となって、編集作業が進められていきます。

まずは原稿整理です。原稿全体を眺めてみて、たとえば「分かる」と「解る」、「タバコ」と「煙草」、「2人」と「二人」、「三百八十」と「三八〇」、「…なのである」と「…なんです」など、箇所によって表記がまちまちになっている場合は、どちらかに統一します。また、明らかな文法間違いや、明らかな漢字の使いすぎも、編集者の判断で修正されることがあります。明らかな事実誤認や、あいまいな記述、前後で完全に矛盾したことが書かれていれば、著者に確認が入ることでしょう。そして、テキスト原稿以外の要素を、他の専門家に制作依頼します。イラストが入る場合はイラストレーターに、写真を撮り下ろす場合はカメラマンに、特殊なレイアウト(掲載内容の配置)が必要な場合などはデザイナーやDTPオペレーターに仕事を依頼します。この段階での編集者は、映画で言えば監督、テレビ番組で言えばディレクターのような役割です。

ただ、最近ではAdobe社の「InDesign」など、パソコン上で動くDTPソフトが高度に発達していますので、編集者が自らレイアウトまで組んでしまうことも多くなっています。いったん、著者としては何も作業をしなくてよくなる時期が到来しますが、まだ終わりではありませんよ。

絵と文/長嶺超輝 協力/しらくまももこ