商業出版を支援するNPO法人 企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)には、読者ターゲットを書き込む項目があります。
この項目には、自分の企画が出版されたとき、本を買って読んでくれるのは、どのような人なのかを考えて記入します。
読者ターゲットは、主な読者を想定した「メインターゲット」と、メインターゲットに近い人や関係者を想定した「サブターゲット」に分けて書きます。
この記事では、読者ターゲットの決め方と、メインターゲットとサブターゲットの分け方を解説します。
1.ターゲットを絞った方が、企画の魅力が伝わりやすい
メインターゲットは、読者の年齢や性別、生活背景などを考慮して決めます。
例えば、料理の企画でも、短時間でパッとできて子どもが喜ぶメニューを知りたい人と、ホームパーティーで振る舞うごちそうのレシピを求めている人の生活背景には、違いがあるでしょう。
ですから、「料理が好きな人」や「毎日の献立づくりに悩んでいる人」という書き方では、ターゲットが広すぎます。
料理の企画の場合、「簡単レシピ」なら、読者ターゲットは初心者や料理に苦手意識がある人がメインとなるでしょうし、「タンパク質が手軽に摂れるメニュー」なら、筋トレや糖質制限を実施している人がメインとなるでしょう。
ターゲットを絞り込むと、読者が減るのでは?と心配になるかもしれません。しかし、八方美人の企画は、よほど強い魅力がなければ誰にもモテません。
自分がモテそうなターゲットにだけ、企画の魅力をアピールした方が関心が集まりますし、一部の人に関心が集まれば、結果としてその他大勢にも注目されやすくなります。
2.サブターゲットの決め方
メインターゲットが決まったら、次はサブターゲットを考えます。
例えば、「がん」に関する企画なら、がん患者だけではなく、患者の家族や医療従事者にも役立つ情報が含まれている可能性があります。
「昭和レトロ」に関する企画なら、昭和生まれの人たちだけではなく、昔の文化を新鮮に感じる若い世代にもウケるかもしれません。
このように、メインターゲットの周囲の人たちや、新たな読者として開拓できそうな人たちが、サブターゲットの候補となります。
3.願望を書くのではなく、目標を設定する
読者ターゲットを決める時に気をつけてほしいのは、「願望」にしないことです。
例えば、「若い人に知ってもらいたい」とか、「幅広い層に届けたい」という書き方が、願望にあたります。
「こういう人に読んでもらいたい」と願うのはいいのですが、願いをそのまま書くだけでは、企画書としては説得力に欠けます。
若い人に読んでほしいなら、企画意図や企画の背景の項目で、若い人にニーズのある内容であることを示し、読者ターゲット欄には「10~30代で、〇〇に悩んでいる人」など、願望ではなく具体的な目標を書きましょう。