2018 年 10 月 04 日

【その17】自叙伝は、なぜ出版が難しいのか? (前編)

●企画立案
日本の出版史上で、最も売れた一般書は、関連本を含めて約800万部の売上げを誇る『窓ぎわのトットちゃん』

ご存知、黒柳徹子さんの自叙伝です。

乙武洋匡さんの『五体不満足』や、大平光代さんの『だから、あなたも生きぬいて』も、出版史に燦然と輝く大ベストセラーの自叙伝として知られます。

そう、自伝は当たると大きいのです。


この世に生を受けた証にと、ぜひ自分の本を出版したい、爪痕を残したいと願う方は少なくありません。

そのような動機から「自伝・自叙伝」の出版を目指す方もいます。

旅行記・闘病記・○○体験記・回顧録も、自伝の一種といえるでしょう。

しかし、自伝の出版は非常にハードルが高いのです。


自費出版なら問題ありませんが、出版社がリスクを取って費用を出資する商業出版は、大変に難しいのが実情です。

なぜなのか、お分かりでしょうか。

人間は基本的に、他人の人生に興味がないからです。

「オレ様の波瀾万丈の人生を、誰かに知ってほしい!」という人に限って、他人の過去に興味を示さず、質問すらせず、話題にも挙げなかったりします。

そのような関心の非対称性により、読者の獲得が難しいのは、自伝の商業出版が一筋縄でいかない理由のひとつです。

たとえば、ある人の過去のエピソードがテレビ番組(『仰天ニュース』や『金スマ』など?)で放映されていれば、興味本位で観ることもあるでしょう。
しかし、テレビ番組は無料で観られますよね。

お金を払って手に入れてまで自叙伝を読むのは、著者に憧れているファンなど、相当に強力な動機が必要なのです。

すでに世間で関心が高い芸能人や、有名スポーツ選手、大成功した経営者などの自伝なら、多くの読者を見込めるため、出版にGoサインが出やすいでしょう。

『窓ぎわのトットちゃん』は、確かに、集団に合わせる生き方が苦手な人々の強い共感を呼ぶ内容でしたが、ハッキリ申し上げて、著者が黒柳徹子さんでなければ、あれほど爆発的に売れるはずがありません。

乙武洋匡さんや大平光代さんは、自伝の刊行当時、有名人とまでは呼べない「知る人ぞ知る存在」でした。
ならば、一般人でも、自伝の商業出版で成功できるのでしょうか?

かたや、生まれつき手足がなくても、明るく知的に生きる障害者。

かたや、極道の妻から足を洗い、司法試験に合格した女性弁護士。

彼らほどのインパクトがある過去であれば、世間話で話題に挙げたくなるかもしれません。

しかし、裏を返せば、彼らぐらい数奇な人生を歩んでいなければ、自伝の出版企画は、まず出版社の編集会議で通らないといえるでしょう。

しかも、「障害者の自伝なら売れる」「裏社会からの更生ストーリーは、いける」といった、わかりやすい基準も存在しません。

著者を取り巻く他の様々な要素、そして時代性や強運まで味方して、ようやく自伝は世間に広く受け入れられたのです。

自叙伝の出版が難しい主要因は、もうひとつ考えられますが、次回にお送りします。〔長嶺超輝〕
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