商業出版を支援する当団体 NPO法人 企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)には、企画意図を書き込む項目があります。
この項目には、企画を立案した理由や、読者に伝えたいことなどを記入します。
しかし、ただ自分の気持ちや都合を書いただけでは、説得力は生まれません。
この記事では、企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」に応募された多数の企画書を見ながら、企画意図の書き方を解説します。
1.「企画した理由」が「売れる理由」につながっているか
エントリーフォームの「企画意図」を書き込む欄には、以下のように書いてあります。
箇条書きで、この本を企画した理由、この本が売れる理由を列挙してください。
ここで注目してほしいのは、この本を企画した理由だけではなく、「この本が売れる理由」も求められていることです。
つまり、「この本を企画した理由」が、「この本が売れる理由」へと、自然につながるように書くのが望ましいのです。
2.企画の価値が読者のメリットと合致するか
それでは、本が売れる理由とは何でしょうか。
人が本を買いたくなるのは、その本が自分に役立つと思ったとき、あるいは楽しませてくれると感じたときです。
ですから、「良さそう」「面白そう」と思ってもらうために、著者は本を読むと得られるメリットを、はっきりとわかりやすくアピールする必要があります。
例えば、副業の企画なら
・賃金が上がらない、終身雇用制の崩壊、老後資金の不足などの理由で将来が不安な人の間で、副業への関心が高まっている
・私は、自身がSNSを活用した副業で月100万円以上を稼いだ経験をもとに副業アドバイザーとして独立し、これまで1万人以上をサポートしてきた。そのうち8割以上のクライアントが、月10万円以上を稼いでいる
・以上の経験と実績を基に、副業を始めたいと考えている人に対し、ゼロからはじめて月10万円以上を稼ぐ、独自のメソッドを提案できる
他の企画でも同様に
・いま、××という理由で、〇〇を求めている人が多い
・〇〇について、私はこのような実績を持っている
・だから私は、〇〇を求めている人に対し、△△という方法を提案できる
このように、読者のニーズに対して自分ができることを示し、「この本には価値がある」「売れる」という説得力を高めていきます。
3.何千人もの読者の姿が見えているか
企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」への応募企画の中には、「この本を企画した理由」ばかりに注力し、「この本が売れる理由」が抜けている、あるいはおざなりになっているものが見受けられます。
そのような企画書は、自分の気持ちや経験を伝えたい!という気持ちばかりが先走り、本の受け取り手、つまり未来の読者の姿が見えていないように感じられます。
どんなに素晴らしい知識や経験も、受け取ってくれる相手の姿が見えなければ、世の中に流通することはできません。
企画意図を書く際には、あなたの本が何千人、何万人、何十万人もの手に届き、その人たちの役に立つ未来を、根拠をもとに論理立て、明確に述べてください。
そこで書いた内容が、すなわち「本が売れる理由」となります。