本のサブタイトル(副題)は、タイトルだけでは伝えきれなかった情報を補足するために付けます。
タイトルを見て本に興味を持った人が、さらに「知りたい!」と思うような言葉を選び、「この本の中には、欲しい情報がある」という気持ちになるように誘導していきます。
この記事では、企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」への応募を通して出版された本の中から、サブタイトルの付け方・考え方に役立つ例を3つ紹介します。
具体的な情報をキーワードで補足する
◆『滅びない商店街のつくりかた リノベーションまちづくり・エリアマネジメント・SDGs』(梯輝元/学芸出版社)
「滅びない商店街のつくりかた」というタイトルから、この本が商店街や地域の活性化、まちづくりについて書かれていることがわかります。
そして、サブタイトルでは、「リノベーションまちづくり」「エリアマネジメント」「SDGs」というキーワードを入れ、どのような手段で商店街のにぎわいを取り戻したのかを、具体的に示しています。
この本を手に取る人は、もともと地域の衰退という課題を解決したいと思い方策を探っている人、つまり、商店街の関係者や公務員、コンサルタント、不動産業界の人などでしょう。
つまり、ある程度読者ターゲットが絞られている本なので、専門家や関心がある人に響くキーワードで情報を補足しています。
読者の気持ちや悩みに寄り添う
◆『あなたらしく生きるための「ひとり会議」ノート 自分と向き合えば、心は整い、夢は叶う!』(山口恵理香/徳間書店)
サブタイトルは「自分と向き合えば、心は整い、夢は叶う!」ですが、先に挙げた例に比べると、「夢」や「心」など抽象的な言葉が並んでいます。
その理由の一つは、商店街の本よりも、幅広い層の読者をターゲットにしていること。さらに、ビジネスの課題ではなく、個人的な悩みを抱えている人をターゲットにしているからだと考えられます。
・悩みを抱えて立ち止まっている人
・やりたいことがあるのにできないでいる人
・人生の方向性に迷っている人
……など、心のモヤモヤを何とかしたいと思いつつ、どうしたらいいのかわからない人には、その人なりの解釈ができる抽象的な言葉の方が、気持ちにやさしく寄り添うでしょう。
数字や資格、学歴、職業で信頼させる
◆『25年間で2000人の子どもたちから学んだ 3歳までの子育てで本当に大切なこと30』(村田真由美/日本能率協会マネジメントセンター)
著者は親子教室を主宰する保育士ですが、「25年間で2000人の子どもたちから学んだ」というサブタイトルを見れば、長年子どもにかかわる仕事に従事してきたことが読み取れます。
このように、実績を表す数字や、専門家であることがわかる資格名をサブタイトルに入れると、読者を信頼させることができます。
東大のような難関大学の学生・卒業生であることを強調したり、「コンサルタントが教える」など、職業名を冠して権威を持たせる手法もよく見かけます。
サブタイトルで、企画のポイントをアピールしよう
サブタイトルがない本もありますが、出版企画書を作る際には、サブタイトルも考えておくことをおすすめします。
サブタイトルを付けることで、企画書をチェックしている編集者に対し、以下のポイントをアピールすることができます。
・企画の核となる重要なキーワード
・想定される読者の悩みと解決法
・自分の実績
上記の点は、著者プロフィールや企画意図、読者ターゲットの項目でも説明できますが、サブタイトルで上手にチラ見せしておくと、興味が湧き、読み進めたくなります。
本もそうですが、出版企画書も、読み手が「その先」を知りたくなるような工夫を凝らして、最後まで読み切ってもらいましょう。