商業出版を支援する当団体 NPO法人 企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)には、類書を書き込む項目があります。
この項目には、あなたの出版企画と似ている内容の既刊本を挙げます。
類書はとても大事な項目なのですが、軽視されがちです。また、誤解されがちな項目でもあります。
この記事では、なぜ類書が大事なのかを解説し、類書の探し方についても説明します。
1.売れている本と同じジャンルの本は、やはり売れる
類書は、出版企画の実現性を図るために必要な項目です。
この項目には、特にベストセラーやロングセラーを挙げるのがよいのですが、その理由は、あなたの出版企画が、売れるジャンルの企画であることを証明できるからです。
どんなに良い企画でも、ジャンルによってはあまり需要がなく、商業出版としては成り立たないことがあります。
しかし、売れている本と同じジャンルの企画なら、「これも本にしたら売れるかも?」という期待が高まります。売れている本と同じジャンルの本は、やはり売れるのです。
2.類書がある=ありきたりな企画、という誤解
企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」への応募作には、類書の項目に「なし」と書いてあるものがちょくちょくあります。
また、出版を目指す人向けのセミナーでは、「類書をたくさん挙げると、同じような本を出しても売れないと判断されるのでは?」と聞かれることもあります。
どうやら、類書があるということは、「売れるジャンル」というプラスの意味ではなく、「ありきたりの企画」とか「独創性のない企画」というマイナスの意味に捉えられることがあるようです。
しかし、先ほども述べたように、類書が豊富なジャンルは需要のあるジャンルですし、企画の新しさや他にはない個性は、類書との差別化という項目でアピールすることができます。
特に、ビジネスや実用など、文芸とは違うジャンルで出版を狙うなら、類書の研究は欠かせない作業です。
3.類書の探し方・おすすめの2つの方法
では、どのように類書を探せばよいのでしょう。
まずおすすめなのは、書店で探す方法です。例えば、あなたの企画が介護に関するものなら、介護の本が並んでいる場所を探し、どのような本が並んでいるのかをチェックします。
その中でも、表紙が見えるようにして何冊も積み重ねられた本や、特設コーナーに山積みにされている本が、その店で売れている本、あるいは売りたい本です。
ビジネス書ならオフィス街、子育ての本なら、子育て世代が多く住む町の書店で売れている本を探せば、なおいいでしょう。
次に、Amazonなどのネットストアで、売れている本を探します。
例えば介護の本なら、本のカテゴリーで「介護」と入力して検索すれば、そのジャンルでおすすめの本が表示されます。
その中から、あなたの企画に近い内容の本を探して、実際に何冊か読んでみましょう。
類書を読めば、自分の企画の良い点も悪い点も見えてきます。類書と比べて、自分の企画のどこが優れているのか、何が足りないのかを点検し、次の項目「類書との差別化」に記入していきましょう。