2023 年 09 月 14 日

企画の背景の書き方・考え方~採用される出版企画書のつくり方【7】

商業出版を支援する当団体 NPO法人 企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)には、企画の背景を書き込む項目があります。

この項目には、本が売れる理由を、季節や流行、世間の関心、イベント等にからめて書きます。

例えば、食材や料理でも、夏に売れるものと冬に売れるものは違いますし、それまで知られていなかったメニューが、何かのきっかけでブームとなり、急に売れることがあります。

本も同じように、出版のタイミングによって売れ行きが左右されたり、ブームに乗って予想外に売れることがあります。

1.美文字の本が売れる時期は?

毎年、年末が近づくと、タイトルに「美文字」や「ペン字」というキーワードが入った本が店頭に並びます。

なぜかというと、年賀状を手書きしたい人が、字の練習のために購入することを見込んでいるからです。

きれいな文字を書くための本は、自分の字にコンプレックスを持っている人や、写経を趣味としている人などにも需要があり、年末以外の季節でも手堅く売れているでしょう。

しかし、もっとも売れるのは年賀状が販売される時期であり、このタイミングを狙って、ペン字や筆文字関連の新刊が発売されることが多いのです。

2.昔の企画も生き返らせる流行の力

本が売れるタイミングは、季節の行事のほか、人気のイベントや流行などによっても変わってきます。

例えば、ワールドカップが始まれば、サッカーの本が売れることが予想されるので、サッカー関連の企画は、その時期を狙って出版できればいいわけです。

企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」に登録している編集者は、過去に配信された企画を閲覧できるのですが、ワールドベースボールが盛り上がった時期には、かなり昔の野球の企画にも問い合わせがありました。

野球のイベントが盛り上がったタイミングなら、古い企画でさえ生き返るのだから、最新の情報にアップデートされた企画があったら、もっと注目が集まったことでしょう。

3.「出版するなら今だ!」とアピールするには?

「来年〇〇が流行する」という予測は当たらないかもしれませんが、ワールドカップやオリンピックのような、いつ開催されるのかがわかるイベントなら、その時期に向けて出版計画を立てることができます。

また、人気のイベントとは関係ない企画でも、例えば以下のような理由で、「出版するなら今だ!」とアピールすることはできます。

 ・「〇〇 方法」というキーワードの検索数が増えている

 ・来年、〇〇税が大幅に改正される

 ・物価高で節約志向が高まっている

 ・コロナが5類に移行して、観光客が増えている

「健康になりたい」「お金持ちになりたい」など、いつの時代も変わりなく求められているテーマもありますが、そのような企画でも、世間の動向や流行にからめてアピールできれば、さらに出版の可能性が高くなるでしょう。

4.普段本を読まない人に売れてこそ

「企画の背景」は、普段本を読まない人や、そのテーマに関心のない人を取り込むために重要な項目です。

普段本を読まない人でも、「時代に取り残されたくない」「新しい波にいち早く乗りたい」「売れてるものにあやかりたい」という欲望は持っています。

そのような人たちが買ってこそ、本はベストセラー、ロングセラーとなって、広がっていくのです。

時代の力を上手に利用して、あなたの出版企画にレバレッジをかけ、大きな成功を手にしてください。。

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