商業出版を支援する当団体 NPO法人 企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)には、企画の背景を書き込む項目があります。
この項目には、本が売れる理由を、季節や流行、世間の関心、イベント等にからめて書きます。
例えば、食材や料理でも、夏に売れるものと冬に売れるものは違いますし、それまで知られていなかったメニューが、何かのきっかけでブームとなり、急に売れることがあります。
本も同じように、出版のタイミングによって売れ行きが左右されたり、ブームに乗って予想外に売れることがあります。
1.美文字の本が売れる時期は?
毎年、年末が近づくと、タイトルに「美文字」や「ペン字」というキーワードが入った本が店頭に並びます。
なぜかというと、年賀状を手書きしたい人が、字の練習のために購入することを見込んでいるからです。
きれいな文字を書くための本は、自分の字にコンプレックスを持っている人や、写経を趣味としている人などにも需要があり、年末以外の季節でも手堅く売れているでしょう。
しかし、もっとも売れるのは年賀状が販売される時期であり、このタイミングを狙って、ペン字や筆文字関連の新刊が発売されることが多いのです。
2.昔の企画も生き返らせる流行の力
本が売れるタイミングは、季節の行事のほか、人気のイベントや流行などによっても変わってきます。
例えば、ワールドカップが始まれば、サッカーの本が売れることが予想されるので、サッカー関連の企画は、その時期を狙って出版できればいいわけです。
企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」に登録している編集者は、過去に配信された企画を閲覧できるのですが、ワールドベースボールが盛り上がった時期には、かなり昔の野球の企画にも問い合わせがありました。
野球のイベントが盛り上がったタイミングなら、古い企画でさえ生き返るのだから、最新の情報にアップデートされた企画があったら、もっと注目が集まったことでしょう。
3.「出版するなら今だ!」とアピールするには?
「来年〇〇が流行する」という予測は当たらないかもしれませんが、ワールドカップやオリンピックのような、いつ開催されるのかがわかるイベントなら、その時期に向けて出版計画を立てることができます。
また、人気のイベントとは関係ない企画でも、例えば以下のような理由で、「出版するなら今だ!」とアピールすることはできます。
・「〇〇 方法」というキーワードの検索数が増えている
・来年、〇〇税が大幅に改正される
・物価高で節約志向が高まっている
・コロナが5類に移行して、観光客が増えている
「健康になりたい」「お金持ちになりたい」など、いつの時代も変わりなく求められているテーマもありますが、そのような企画でも、世間の動向や流行にからめてアピールできれば、さらに出版の可能性が高くなるでしょう。
4.普段本を読まない人に売れてこそ
「企画の背景」は、普段本を読まない人や、そのテーマに関心のない人を取り込むために重要な項目です。
普段本を読まない人でも、「時代に取り残されたくない」「新しい波にいち早く乗りたい」「売れてるものにあやかりたい」という欲望は持っています。
そのような人たちが買ってこそ、本はベストセラー、ロングセラーとなって、広がっていくのです。
時代の力を上手に利用して、あなたの出版企画にレバレッジをかけ、大きな成功を手にしてください。。