商業出版を支援する当団体 NPO法人 企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)には、「本書の内容」という項目があります。
「本書の内容」を書き込む欄には、「ジャンルは何かを明記してください。つまり、この本はビジネス書なのか実用書なのか写真集なのか文芸書なのか。さらに、何について書かれている本なのかを明確に記述してください。」と説明が添えられています。
この記事では、企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」に応募された多数の企画書を見ながら、企画の概要を説明する文の3つの例を紹介します。
1.自己アピール型
ダイエットの実用書
自身も-30kgのダイエットに成功した管理栄養士が、しっかり食べて健康的に痩せる「魔法の食べ方」を公開します。約1000名のクライアントのエピソードを交えながら、食べ痩せのコツや腹持ちの良いメニューを紹介し、持続可能なヘルシーライフを提案します。
上記の例では、「管理栄養士」という資格名や、「約1000名のクライアント」という数字を入れて、自分が実績のある専門家であることをアピールしています。
2.ストーリー仕立て
エッセイ、スピリチュアル
失恋して泣いてばかりの私の目の前に突如現れた、小太りの冴えないオッサン。自称「天使」だなんて怪しさいっぱいだけど、どことなく憎めない彼の言葉を聞いているうちに、気が付いたら子供のころから憧れだった仕事を始め、素敵な彼と出会い……。人気ブログ『天使なんてウソでしょう?』をベースにしたスピリチュアルエッセイ。
闘病記や自己啓発など、自身の体験をもとにした企画では、ストーリー仕立てで内容を紹介するタイプも多いです。
3.箇条書き
ビジネス書
・「ひとり社長」のためのSNS集客術
・多忙な中でも無理なくできる方法を厳選しました
・クライアントが成果を上げた実例も多数紹介します
・マネするだけでフォロワーが増える「〇〇シート」の特典付き
箇条書きのほか、「前半では〇〇について説明します」「後半では▲▲について説明します」など、前半・後半で内容を分け、それぞれの要点を簡潔に紹介する書き方もあります。
4.良くない書き方の例
企画の概要は、簡潔に書くのが望ましいのですが、短ければそれでいいわけではありません。
必要な情報が抜け落ちていると、企画の趣旨や特徴が伝わらないからです。
そこで最後に、良くない例を2つ紹介します。
まずひとつは、以下のように、ほぼキーワードだけを羅列したものです。
・健康本
・肩こりに悩む人へ
・独自のエクササイズで改善
これだけでも、肩こりを改善する運動を紹介する企画だとはわかります。
しかし、「独自のエクササイズ」にどんなメリットや新しさがあるのかを伝える言葉も、書き足すとよいでしょう。
上記の素っ気ない書き方とは逆に、下記のような熱い想いが先走った文章も、企画の趣旨が伝わりにくいです。
いくつになっても青春! 今日が一番若い日! ピンピンコロリを目指して、悔いなく生きるための書。
高齢になっても元気で過ごし、やりたいことをやろう!という意気込みは伝わってくるのですが、何をどうしたらそうなれるのかが書かれていません。
実用書ではなく、エッセイの企画だとしても、大事なポイントや読みどころを明確な言葉で示し、独自性をアピールした方が良いでしょう。