商業出版を支援する当団体 NPO法人 企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)には、見本原稿を書き込む項目があります。
この項目には、出版企画が本となったとき、どのような原稿になるのかがわかるように、原稿の一部分を書いて記載します。
この記事では、見本原稿を作成する際のポイントを解説します。
1.「はじめに」から書く必要はない
企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)の見本原稿記載欄には「読者が最も興味をそそられる部分の見本原稿を書いてください。2〜3本あるのが望ましいです」とあります。
この「読者が最も興味をそそられる部分」というのが大変重要なので、覚えておいてください。
企画応募者の中には、「はじめに」の見本原稿から始まり、次に第一章、第二章……と、順序良く見本原稿を記載する方も多いのですが、それは得策ではありません。
ここで守るべき順番は、「面白い」「興味深い」「新しい」の順番であり、目次の順番ではないのです。
2.差別化ポイントがわかる部分を書く
見本原稿は、企画の最も大事なポイントが、はっきりとわかる部分を書いて、見せてください。
つまり、類書との差別化ポイントを打ち出して、アピールするのです。
見本原稿を読めば、ほかの本にはない特徴や新しい点、優れている点がすぐにわかるのが理想です。
できれば、ひとつの章だけではなく、複数の章の見本原稿を用意して、さまざまな角度から差別化ポイントを打ち出してください。
3.完成原稿はなくてもOK
当団体のお問い合わせフォームには、「原稿は最後まで書かないとダメですか?」という質問が、時々寄せられます。
最後まで仕上げた原稿のことを、完成原稿といいますが、完成原稿はなくても企画は応募できます。
また、出版社への持ち込みなど、当団体以外に企画を送る際も、必ずしも完成原稿は必要ではありません。
完成原稿があると、有利なことも不利なこともあります。
例えば、編集者がすぐに出版できる企画を探している場合、完成原稿があると有利なことがあります。
一方、完成原稿がない企画書の方が、企画書をもとに自由な提案がしやすいので、好まれる場合もあります。
当団体に企画を応募する前に、原稿を書き上げた人は、エントリーフォームの「原稿完成の予定」という欄に、「完成原稿あり」と記入してください。
そして、完成原稿の中から、差別化ポイントがはっきりとわかる部分を抜粋して、見本原稿としてください。
これから原稿を書く人は、目次の中から、差別化ポイントがはっきりとわかる項目を選んで、見本原稿を書いてください。
4.見本原稿の文字数はどのくらい?
企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)には、2000字程度の見本原稿を3本ほど記入することができます。
この分量を、ひとつの目安としてください。
イラストや写真、図解が中心の企画は、もっと文字数が少なくても大丈夫です。
そのような企画を応募する際は、ご自分のホームーページやブログ、あるいはGoogleドライブなどのクラウドストレージサービスに画像つきの原稿を掲載し、見本原稿欄にURLを記入してください。
5.文章の完成度にこだわり過ぎない
見本原稿を書くにあたり、自分の文章力が気になる方も多いでしょう。
もちろん、文章力があるに越したことはないのですが、編集者が見たいのは、文章力よりも企画のポテンシャルです。
見本原稿の文章があまり上手ではなくても、企画さえ優れていれば、文章はライターが書くことを前提に企画が採用されることもあります。
文章力がある人ほど、自分の書いた文章の欠点も見えるため、「これでいいのか?」と悩んでしまうことも多いようです。
しかし、細部にこだわり過ぎると、筆が止まってしまいます。多少粗削りでも、書きたいことを書きたいように書いて、見本原稿を仕上げていきましょう。