2023 年 07 月 21 日

著者プロフィールの書き方・考え方~採用される出版企画書のつくり方【5】

商業出版を支援する当団体 NPO法人 企画のたまご屋さんのエントリーフォーム(出版企画書応募欄)には、著者プロフィールを書き込む項目があります。

著者プロフィールは、出版企画書の中でも特に重要な項目です。

企画書自体の出来栄えがいまひとつでも、プロフィールに魅力があれば、編集者が著者としての可能性を感じ、新たな企画を提案してくることもあります。

この記事では、企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」に応募された多数の企画書を見ながら、著者プロフィールの書き方を解説します。

1.「略歴」から「必然性」へと導き「販促」を後押し

エントリーフォームの「著者プロフィール」を書き込む欄には、以下のように書いてあります。

◎信頼性をアピールするために重要な項目です。略歴を誠実に書いてください。

◎また、著者がなぜこの本を出す「必然性」があるのかが版元編集者に伝わるように書いてください。

◎以下のような内容がある場合は、必ず入れてください。

・過去に著書がある(類書で売れたものがあればベター)

・このテーマについて高い専門性がある

・他の人にはないユニークな経験をしてきている

・このテーマに関して、マスコミに多数露出している

つまり、プロフィールを見た編集者が、「なるほど! この人は、このような本を書くのにふさわしい人だな」と必然性を見出してくれるような書き方が大事。

さらに、「本が出版されたら、自分の個性や専門性、ネットワークを活かして宣伝できますよ」という期待を持たせるのがいいわけです。

2.出版企画書におけるプロフィールの書き方

出版企画書に書く略歴は、就職活動の履歴書や、婚活の釣書とは違います。

生年月日や出身地、学歴などの情報は、あまり重要ではありません。重要なのは、企画に紐づく経歴や実績です。

例として、企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」への応募を通して出版された本『読んで旅する海外文学:24か国の旅行記×77冊の読書ノート』(重松理恵/大月書店)を紹介します。


読んで旅する海外文学:24か国の旅行記×77冊の読書ノート

著者は、世界各国を旅した経験がある読書家。その2つの「好き」、つまり旅行と読書を掛け合わせ、訪れた国にまつわる本を紹介するブックガイドを企画しました。

この出版企画書の著者プロフィールに書いておきたいのは、海外旅行と読書に関する実績です。

これまでいくつの国や地域を訪れたのか、どんな国の本を読んできたのかなど、旅行先の数や読書経験の豊富さを、数字を使ってアピールすると効果的でしょう。

また、著者には、大学生協で本の仕入れや販売を担当してきた経歴があります。

この経歴を書いておくと、自ずと本に詳しいこと、目利きであることがわかります。さらに、大学生協のネットワークを通じて販促につなげられるのでは?という期待も生じます。

3.プロフィールは「つくる」ことができる

「高い専門性」や「ユニークな経験」なんて、私にはひとつもない。ましてや、著書やマスコミへの露出だなんて……。

そんな風に思って出版をあきらめるのは、まだ早い!

なぜなら、著者プロフィールは、ゼロからつくり上げることができるからです。

例として、企画のたまご屋さんの商業出版支援サービス「ほんたま」への応募を通して出版された本『ありえない「妄想」でお金も恋も引き寄せる!』(かずみん/秀和システム)を紹介します。


ありえない「妄想」でお金も恋も引き寄せる!

この本は、ブログ「妄想は世界を救う。~妄想万能説~」をベースとして出版されました。

今でこそ、人気ブロガーとして何冊も本を出版している著者ですが、ブログを開始した頃は、無名の人だったはず。

しかし、魅力的なコンテンツをコツコツ発信することで、引き寄せの専門家として、そしてユニークな書き手としての地位を確立していったのです。

さらに、人気ブログということは、多くのファンがついているということですから、大勢のファンが本を買ってくれるのでは?という期待も高まります。

ブログやSNS、YouTubeで知名度を上げて本を出版した例は、枚挙にいとまがありません。

著者としての専門性や個性に欠けている、と思う方は、ぜひネットの力を利用して頭角を現してください。

4.著者プロフィールの書き方は、類書で研究しよう

著者プロフィールは、たいてい本の最後に、カバーを折り返した内側に掲載されています。

あなたが出版したいジャンルが決まっているなら、そのジャンルで売れている本を選び、著者プロフィールを確認してみてください。

書籍に掲載されているプロフィールは、プロの編集者が推敲を重ねて書いたものです。

限られた文字数の中で、必要な情報だけを取り上げて目立たせ、本と著者の両方を魅力的に見せる技は、きっと参考になるでしょう。

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