ガンとの闘いは、告知された時から始まる
「あなたの病気は、ガンです」 そう告知をされたら、もう取り返しがつかないと思っていませんか? ガンは治らない病気というイメージを持っている方は少なくないでしょう。しかし、本書の著者であり、20年以上、ガン患者を診てきた外科医の佐藤典宏医師は、ガンの6割は治ると言います。
それなのになぜ、ガンという病にネガティブなイメージが強いのか。それは、ドラマや映画にガン闘病の末になくなるシーンがあったり、有名人がガンで亡くなったことが注目されることをあげています。その一方で、ガンを克服し、幸せに暮らしてるサバイバー(生還者)に関する報道が少ないのです。
“むしろ私は、告知の後にこそ、重大な分かれ道があると考えています”
ガンの治療の進展を左右するのは、告知後に決断を迫られるポイントで患者自身がどんな決断をするか。その選択により、治療の進展が決まってくるため、より良い選択をするための正しい情報を知ることが必要になってきます。そこで本書では、「告知されたときに知っておくべき7つのこと」「手術の前にしておくべき7つのこと」「手術後に心がけるべき7つのこと」のガン克服の21か条を掲げています。
“告知された時に知っておくべき7つのこと
1.「ガン=死」の認識を改める
2.病院選びを間違えない
3.主治医の専門性と治療方針をチェックする
4.ガイドラインが正しいとは限らない
5.「先生にすべてお任せ」ではダメ
6.非標準治療を過信するのはハイリスク
7.余命は聞くな”
進行してしまったガンであれば、どうしても心配になるのが「余命」ですが、著者はそれを聞かないほうがいいとアドバイスをしています。その理由は「余命」のカラクリにあります。 余命とは、「せいぜいもって、あと3か月」ではなく、生存期間の中央値のこと。
“生存期間の中央値とは、ある集団において真ん中に位置する患者さんが亡くなるまでの期間のことです。
例えば、99人の患者さんを対象にする場合、データを生存期間の短い順に並べたときに中央に位置する値で、50番目に亡くなった患者さんの生存期間にすぎません。生存期間の分布は正規分布をなさないために、平均値ではなく、中央値をいっているだけなのです。
つまり、生存期間の中央値が3か月の集団の中でも、5年も、10年も生きている人がいる可能性があるのです。”
しかも、余命を聞いてしまったがゆえにショックを受け、あきらめてしまい、余命宣告のとおりに亡くなってしまう方もいるそうです。小さな転移が一か所だけでも、体のあちらこちらに10か所以上の転移がある状態でも、他の臓器に転移していれば、同じステージ4。同じステージであっても、ガンの種類や転移の状態によっては、治療成績が変わってくる可能性があるといいます。
ガンを宣告され、ひどく落ち込んだり、憂鬱な気分が続くのは当たり前。しかし、2週間を目安に気持ちを立て直したほうがいいと、著者は話します。その理由は、心の状態と免疫機能は密接に関連しており、気持ちの落ち込みが続くことで、免疫力が低下し、ガンの悪化につながる恐れがあるため。まさに宣告された時から、ガンとの闘いが始まっているといえるでしょう。
「ガン」はちょっと厄介な病ですが、そのイメージに惑わされたり、失望することなく、現実的に病気と向き合える本です。(中山寒稀)
本書は、『「このがん治療でいいのか?」と悩んでいる人のための本 読むセカンドオピニオン』とともに、1つのたまご(企画)から生まれた書籍です。
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ガンとわかったら読む本 専門医が教えるガン克服の21カ条