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2018 年 12 月 21 日

あやしい催眠商法 だましの全手口 身近な人を守るために知っておくべきこと

著者:

ロバート・熊

出版社:

自由国民社
生活実用書

「だまされないから大丈夫!」があぶない。近づいてはいけない催眠商法

街中の空き店舗にある日、突然、「自然食品の店」などがオープンすることがあります。改装することもなく、商品が並んでいる様子もないので、ちょっと違和感があったものの、外から見てもお年寄りの方を中心にかなり繁盛している様子。私自身、そういうお店がお年寄りの間で流行してるのかと解釈していたのですが、そういう店舗の多くが「催眠商法」の会場なのだそうです。

催眠商法は、悪徳商法の一種。毎日、ただ同然で配られるお土産を目当てに集まるお年寄りに向けて、楽しい講演会が開かれます。やがて、その雰囲気に酔ってしまい、気が付けば高額な健康食品などの商品を売りつけられてしまうことに。

参加している人はすっかり騙されているわけではなく、「やがて高い商品をすすめられる」ことがわかっている人も少なくないそうです。それなのに、なぜ参加するのか? お得なものを手に入れたり、景品をもらい、その場を楽しむ。高い物をすすめられたら、断ればいいと思っているのです。もちろん、それができれば催眠商法は成立しません。

“催眠商法4つの危険性

1.合法的にふるまう

問題点(国が簡単には取り締まれない)

2.笑いと興奮の渦に巻き込む   (お年寄りにとって貴重な娯楽と化してしまう

問題点(正常な判断が下せなくなる)

3.完璧に信じ込ませる   (被害が明るみに出ないので世間が注目しない)

問題点(お年寄りからの被害届がほとんどない)

4.毎日ただ同然で日用品を配る

問題点(お土産代のコストを客から回収しなければいけない)“

このような会場に通う人の中には、催眠療法にはまってしまい、買う快感から逃れられなくなってしまう人もいます。著者が忘れられないというお客さんは、宣伝会場が大好きで、サクラのように会場を盛り上げ、すべての商品を現金で買ってくれる人でした。其の人を知って3年が経った頃には、商品をすすめてもなかなか買わなくなりました。最終日になって著者がすすめた商品を購入するためのローンの手続きをしながら「お金が無くなって、息子に怒られた。もうこれっきりにしてください」とそのお客さんは泣いたそうです。その後、ローンの審査すら通らなくなり、別の業者の社員から「もう来るな」と言わるほど追い詰められることに。著者はそのお客さんのことを思い出すたびに胸が痛くなると言っています。

もし、高額商品を買わずにうまくお土産を手に入れ続けていたとしたら、どうでしょう。やがて、他の買う客から「もらい屋さん」として白い目で見られてしまうことになります。しかも、業者側は買わずにお土産だけをもらう客のコストを「買う客」から回収することになるのです。つまり、だまされずに、お得な商品や景品をもらうことができたとしても、それがよいこととは限らないのです。

では、被害にあわないためにはどうしたらよいのでしょうか。

“被害にあわないための3か条

1.近寄らない

2.もったいない」と思わずに通うのをやめる

3.クーリングオフに遠慮をするな”

催眠商法は、お年寄りの孤独感を埋める役割を果たしてしまうことがやっかいだと著者は言っています。もしかしたら、自分の大切な人と離れて暮らしていたとしても、コミュニケーションをとることが被害を防ぐ一歩になるかもしれません。もし、だまされてしまったとしても、責めずに理解を示すことで、話しやすい関係を親子で作っていくことが被害を大きくしないことにもつながります。催眠商法のおそろしさとともに、親子関係についても考えさせられました。(中山寒稀)

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