あなたの企画に近い 既刊(すでに出版されている本)を、どれほどご存知ですか?
その
「ライバル書」は、どのくらいお読みになりましたか?
そして、その本はちゃんと売れていますか?
「すごいことを思い付いた! こりゃ、斬新なアイデア!」と、あなたが今、喜んでいるもの。
それはひょっとすると、客観的にはありきたりの陳腐なネタなのかもしれません。
本や雑誌だけでなく、ネット上でも 何度となく採り上げられていてもおかしくありません。
いえ、企画が陳腐なこと それ自体が問題なのではありません。
本人が無自覚で、陳腐さを放置していることが問題なのです。
ご本人は、富士山の頂上にいるつもりかもしれませんが、実際は五合目(スタートライン)にすら辿り着いていないようなものです。
もし、ご自身の認識のズレを知り、その現実を受け入れて、修正し続ける姿勢があれば、後からいくらでもリカバリーできます。
ご自分の企画が どの位置にあるのか、客観的に把握するには、同じジャンルの既刊、つまり
「類書」の研究が欠かせません。
企画のたまご屋さん「ほんたま」の
出版企画エントリーフォームには
「類書など」「類書との差別化」という項目を用意しています。この類書にベストセラーが含まれていると、企画会議で説得力を高めるための材料が増えるので、編集者視点での印象がよくなる場合があります。
しかし、ここに平気で「類書なし」と書いてしまう方が少なくないのも確かです。
お願いですから、
「類書はありません」と、簡単に片づけないでくださいね。どんなに画期的で斬新なように見える企画でも、必ず、ジャンルの異なる複数の企画の組み合わせでできています。日本国内だけでも、年間8万点ほどの書籍が出版されているのですし、世界に目を向ければ、さらに多くの本で溢れかえっています。
世界中の本をくまなくチェックしていただきたいわけではありませんが、少なくとも、ご自身の企画が出版界全体においてどのような位置にあるのかを、客観的な視点から掴もうと努めていれば、「類書なし」とは書けないはずなのです。
類書は、無理して購入する必要はありません。図書館で読めます。
あるいは、書店で数分ほど立ち読みしてみてください(お店に迷惑がかからない程度に)。
必ず、何かに気づくはずです。
類書にない、あなたの企画の優位点に。
そして、あなたの企画にはない、類書の素晴らしい特徴に。
〔長嶺超輝〕