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2022 年 04 月 26 日

海底撈 知られざる中国巨大外食企業の素顔

著者:

山下 純

出版社:

徳間書店
ビジネス

常識外れの接客サービスは、地方都市の小さな火鍋店からはじまった

日本でも複数の店舗を持つ中国火鍋チェーンの海底撈(かいていろう)は、中国では知らない人はいないというほどの、超有名チェーン店です。その始まりは、1994年に張勇氏が同級生4人と始めた小さな四川風火鍋料理チェーンでした。

「顧客至上」「サービス至上」を理念に掲げる海底撈は、料理はもちろん、変態級と言われるほどの接客サービスが最大の特徴です。待たせている客が飽きないよう、靴磨きやネイルサービス、店舗限定のスマホゲーム、キャンディやフルーツの無料サービスは当たり前。店の外で喧嘩が始まったので、客が様子を見るために外に出ると、その客のために椅子とお茶、お菓子を用意し、喧嘩の原因を聞きに行ってくれる。メニューにないものは、頼めば買ってきてくれるなど、海底撈のサービスは常識外れなのです。

手厚いサービスがあるのは客に対してだけではありません。、従業員に対する手厚いサポートも海底撈の特徴です。中国の社会は、学歴と出身地が重視されます。学歴がなく、農村出身であれば、就ける仕事は悪条件で低賃金、過酷でブラックなものばかりです。しかし、海底撈が問うのは、本人のやる気だけ。学歴、戸籍、性別は一切問いません。給料は、一般の中国企業の大卒新入社員と互角か、それ以上です。さらに店長まで上りつめ、担当店舗で優秀な成績を重ねれば、のれん分けをさせてもらえるので、弟子が持つ店舗から上納金を得ることができるようになります。学歴がなく、農村出身でも、高所得者の仲間入りをすることが可能です。「自らの努力で未来を拓く」という言葉は、海底撈のスローガンにもなっています。

著者曰く、中国の外食産業の中でも、火鍋業界はレッドオーシャン。海底撈は、なぜ小さな火鍋店から世界トップクラスまで勝ち上がってこられたのか。本書では、その秘密が明らかになります。ビジネスの大きなヒントになる一冊です。(中山寒稀)

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