現代版「学校のこわい話」
学校のこわい話といえば、開かずのトイレ、夜になると動く音楽室の肖像画などが定番ですね。どこの学校でも、さまざまなこわい話が語り継がれているのではないでしょうか。
本書は、そんな昔ながらの怪談とは異なる、現代版の学校のこわくてふしぎな話です。
舞台は、6年生対象の学習会。校長先生が講師を務める「ちょっとこわくてふしぎな話」講座です。主人公は、こわがりなのにこわい話が大好きなぼーちゃんと、幼なじみの3人です。
本書で紹介されている、こわくてふしぎな話のひとつが「おでき」。
かつて校長先生が担任をしていた2年生のDさんの腕に、鬼の顔のようなおできができたそうです。それを見たまわりの生徒からは「鬼の子」だとDさんはいじめられるように。先生は、生徒たちに注意したものの、見えないところでいじめは続いていました。
ある日、いじめをしていた3人は、原因不明の病気で入院することに。
時期を同じくして、Dさんは腕のおできをとるための手術をするために、入院することになりました。手術を受けたDさんの腕のおできから、なんといじめをしていた3人の持ち物が出てきたのです。Dさんによると「仕返ししたいやつの持ち物を食わせたら、俺が仕返しをしてやる」とおできが言ったというのです。さらに不思議なことに、おできをとる手術をしたら、入院していた3人の病状も回復しました。そして、いじめもなくなったそうです。
校長先生のお話の後は、この話題をグループごとに話し合います。ぼーちゃんのグループは「Dさんが魔力を持っていた」という意見にまとまりましたが、多くのグループでは「いじめられて妄想がふくらんだ」という結論に達しました。
その話には続きがあります。その手術前のDさんのおできの写真を見せてもらったところ、そのおできはDさんの顔にそっくりだったそうです。
果たして、真実は何だったのでしょうか。
学校の帰り道、ぼーちゃんたちは、白熱した討論を繰り広げます。
本書で紹介しているのは、こわいだけじゃなく、ちょっと考えさせられるお話です。実際に小学校の校長先生を務めていた経験がある著者の話に、子どもは好奇心を刺激されるのではないでしょうか。(中山寒稀)
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校長先生、ちょっとこわくてふしぎな話を聞かせて