つらい死別を経験した人には、何が起こるのか? 哀しみと折り合いをつけるために必要なこととは?
最近、よく耳にする言葉に「グリーフ」があります。これは、「喪失体験に伴う悲しみや嘆きとその反応」のことなのだそうです。
もし、身近に大事な人を失い、悲しみにくれて苦しんでいる、そんなグリーフの中にある人がいたら、どうしたらいいのでしょうか? なぐさめたり、励ましたり……しかし、良かれと思って言ったことでも、当事者にとって怒りや苦しみを招いてしまうことがあります。
無難な言葉に感じる「お気持ちよくわかります」であっても、「何がわかるの!?」と思ってしまったり、励ますつもりの「亡くなったお兄さんの分もしっかりと生きなさい」という言葉が、相手にとっては、死別のショックに加え、重荷を背負わされたように感じてしまうことも。
本書では、そんな大切な人を亡くした方の拠り所として、日本グリーフ専門士協会がインターネットで開催している「グリーフサロン」を再現しています。著者は、代表理事の井手敏郎さん。自分の悲しみを和らげるために、また悲しみを抱えてしまった人がいたときのために、知っておいてほしいことが5つあるといっています。
そのうちの一つが、「感情への影響」。
感情に影響するのは、当たり前だと思うかもしれません。しかし、大きな悲しみの中にいる人は、想像よりもはるかに複雑な気持ちを抱えます。「グリーフスパイラル」として、喪失体験後、混乱、否認、怒り・罪悪感、抑うつ、あきらめ、転換の各局面がランダムに現れ、変化していきます。さまざまな局面を体験し、行ったり来たりしているように感じたとしても、それらは、自分自身を守るための自然な反応なのだそうです。やがて「再生」にたどり着き、自分らしく生活できる局面を迎えることができるようになります。
本書では、感情への影響のほか、身体、周囲、精神、未来にもたらす影響について紹介しています。これらを理解することで、喪失体験をした自分に何が起こるのかを知ることで、不安を和らげることにもつながるのではないでしょうか。また、それぞれの状態を自分で和らげるためのワークも紹介されているので、どうにもならない気持ちを抱えている方に、おすすめしたい書籍です。また、喪失体験をした方を支える側にとってもとても大切な知識だと思います。(中山寒稀)
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大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと