ある日突然、逮捕されるかも? 知っておきたい被疑者基礎知識
本書は、公職選挙法違反で逮捕された著者の経験を綴った本です。「身に覚えがないことで逮捕されるなんてありえない」というのは大間違い。本書の著者である渡辺強さんも、まさか逮捕されるなんて、想像もしていませんでした。むしろ、選挙コンサルタントの著者は、クライアントに公職選挙法のレクチャーをする立場なのです。
2016年の参院選の投票が終わった翌日に、クライアント陣営の選挙関係者の家に刑事が訪ねてきたとのこと。著者は、その一報を聞いても、全く動じませんでした。なぜなら、選挙で警察が入るのは、買収がほとんどであり、全く心当たりがなかったのです。
しかし、実は選挙事務所も後援会事務所態勢も整っていない時期から、大阪府警捜査2課の刑事から見張られていたのです。警察にとって著者のクライアントの陣営を捕まえることは「決められた未来」だったと著者は言っています。その結果、著者は言いがかりに近い公選法違反の被疑者として、取調べを受けることに。
かくして、任意の取調べである6日間と勾留期間の23日間、ほぼ監禁状態に置かれることに。長期間、複数の敵に責め続けられると、思考能力と判断力が極度に低下し、正常な精神状態を保てなくなるそうです。それを乗り切るためには、とにかく楽観し、この経験を楽しもうとすることだと著者はいっています。
本書には、否認し続ける著者と刑事やセクシー検事との精神戦など、信じられないような現実が綴られています。また、移送される犯人が手錠をかけられジャージやスウェットなどのみすぼらしい恰好をしている理由や意外と健康的な留置場暮らしなど、興味深い逮捕劇、そして選挙の裏側を知ることができます。
本書を読むと、逮捕は決して他人事ではないと痛感します。痴漢の冤罪や気が付いたら詐欺師の片棒を担がされていたなど、いつ「逮捕される」側として事件に巻き込まれるかはわかりません。著者曰く、「真実はいつかわかってもらえる」とは限らないといいます。巻末の「わが身を守るための被疑者十戒」は必読です。
さて、逮捕、拘留された著者は、その後どうなるのでしょうか? ぜひ、本書でご確認ください。(中山寒稀)
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不本意ながらいきなり「手錠」――参院選モヤモヤ逮捕劇