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2021 年 01 月 26 日

ぼく、催眠商法の会社に入っちゃった

著者:

ロバート・熊

出版社:

辰巳出版
ノンフィクション生活

楽しいから怖い。気づかぬうちに泥沼にはまる催眠商法の実態とは?

「悪徳商法になんて、引っかからない」「自分は絶対に大丈夫」と思っていませんか? 本書の著者、ロバート・熊さんによると、実際の被害者の大半は、少し前までそう思っていたそうです。

怖いのは、催眠商法は「犯罪」ではないこと。違法スレスレではあるものの、あくまでもビジネスなのです。だから、堂々と行われています。そして、気が付いたら、このビジネスの虜になっている可能性もあるのです。

そもそも、「催眠商法」とは、どんなビジネスなのでしょうか。

その言葉通り、催眠術をかけるように消費者の心理をコントロールし、高額な商品を買わせる手法です。扱うのは、おもに健康食品や健康器具、寝具など。「商品説明会」や「講演会」「販売イベント」といった触れ込みで、お客さんを集めます。会場は、公民館、空き倉庫、空き店舗など。ターゲットは、巧みなトークや会場の雰囲気で判断力を狂わされやすいお年寄りがほとんどです。

会場では、毎日のようにタダ同然の金額で「お土産」が配られるため、「お得なイベント」であることを強調して、お客さんを集めます。あくまでも、自分の意志で購入するように促されるので、犯罪として摘発されることは少ないそうです。

もちろん、お得なお土産だけをもらって帰ろうとする「お土産ゲッター」と呼ばれるお客さんもいます。普通に買えば1000円~1500円するものが100円程度で手に入るのですから、本当にお得。会社側にとって、その分コストになるので、それを回収をするために営業マンは必死に商品を売ろうとします。それでも高額商品を買わずにお土産だけを手に入れようとするお土産ゲッターは、営業マンとの攻防の末、会場から排除されるとのこと。うまくトクをし続けるというのは、ありえないのです。

著者の催眠商法の会社の営業マンの生活の中で、初めてその仕事に疑念を抱いたのが、派手な服装に満面の笑みのマダム風の女性とのエピソードだったといいます。

その女性は、販売会場の明るい雰囲気が気に入ったらしく、会場にちょくちょく姿を見せていました。優しくて屈託のない人柄で、社員や周りのお客からも愛される存在。しかも、次々に高額商品を購入してくれます。マダムにとって、著者の店は、最高のエンターティメント空間であり、楽しく魅力的なその空間から抜け出せなくなっていました。

やがて、老後の貯金を使い果たしてしまったのでしょう。最後に涙を流しながらローンを組み、商品を購入したあと、会場には姿を見せなくなってしまったそうです。

巻末に、「最後までお読みくださった読者のみなさまへ」という編集担当の方が書かれたページがあります。そこには。本書に著者自身の心の揺らぎを感じる部分があるかもしれないと書かれています。売る側だった著者でさえ、そういう思いを抱き続けることに、「催眠商法」の恐怖を感じずにはいられません。(中山寒稀)

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ぼく、催眠商法の会社に入っちゃった