夢のマイホーム。購入はゴールではなく、住宅ローンのスタート
本書は、一戸建てマイホーム購入を超現実的に考える本です。住宅営業は「千三つ屋(千の言葉の中に3つしか真実を言わない)」「見た目弁護士、心は詐欺師」といわれています。そうなってしまう理由は、営業マンの給与は高率歩合給だから。固定給だけでは微妙に生活苦に陥る設定になってるため、営業マンはとにかく契約をとって稼ぎたいのです。
著者の屋敷康蔵さんは、現在、建物の損壊や自然災害などの調査業務を行う建物災害調査協会で、コストを抑えた家屋の修復工事を提案しています。そんな著者ですが、かつて消費者金融で不動産担保ローンの貸付業務と回収を担当し、その後、不動産業界に転身したという経歴の持ち主。その経験から、夢のマイホームをめぐる「不愉快極まりない現実」を明かしています。
住宅メーカーの営業マンは、それぞれ得意分野を武器にしていることが多いそうです。建築知識に詳しい設計あがりの営業マンや、金融知識や住宅関連の助成金や補助金に詳しい営業マンもいます。そのなかで、お客様から敬遠されがちなのは、金融知識に長けている営業マン。その理由は、お客様は夢(家)の話を聞きたいのに、金融知識に長けた営業マンは金(現実)の話をしたがるからだとのこと。しかし、それはお客様のことを思うからこそ。住宅ローンなどのお金の話は避けては通れない現実なのです。
“仮に住宅ローンを35年間、金利2.5%で3000万円借入れした場合、最終的な返済総額は4500万円。1500万円を利息として、金融機関に支払うことになります。”
何千万円という見積もりを見慣れてしまっているお客様には、数字の感覚がマヒしてしまい、1500万円の利息に疑問を持たない人も少なくないそうです。一見、味方に見える営業マンも、住宅メーカーは住宅を販売するのが仕事であり、金融機関は貸付残高を増やすのが仕事。そんななかで、早い段階で「住宅ローン」を意識させてくれる営業マンは、本当の意味でマイホーム購入計画を成功させてくれる味方であると著者は言っています。
また、著者によると、必ずしも高収入だから生活に余裕があるとは限りません。収入が低くても比較的余裕のある生活をしている人もいれば、高収入でもカツカツの生活をしている人もいるそうです。その理由は、残債に関係なく、住宅ローンを組むと、クレジットカードや他のローンの審査は有利になるから。住宅ローンを組めるということは、金融機関のお墨付きをもらっていることと同じなのです。その結果、高収入の世帯が「車、教育、遊興費」など、見栄を張った末に破綻する人が少なくないとのこと。
「夢のマイホーム」の購入を考えている人には、ぜひ読んでいただきたい一冊です。不動産営業や金融機関との付き合い方、住宅購入の基礎知識などを知ることができます。マイホームの購入は「夢」ではなく、「現実」ということを痛感します。(中山寒稀)
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