敏感で心配性だけど、自分を楽しむ! HSPを知れば、ありのままでいられる
本書は、HSP、HSSを持つ女性のエッセイです。著者の染井アキさんは、長い間、人とは違うという違和感を抱え、「自分はダメ人間だ」と思いながら生きてきました。5人に1人は当てはまるといわれているHSPは、「もしかしたら、自分も…」と思っている人も多いのではないでしょうか。著者は、HSPを自覚することで楽になる部分が多いといいます。著者のHSP目線の経験や感じていることを知ることで、「生きにくさ」を感じている人でも、気づきが生まれ自分を楽しむことにつながっていくかもしれません。
HSPとは、ハイリー・センシティブ・パーソン(Highly sensitive person)の略で、生得的な特性として高度な感覚処理感受性(あるいは生得的感受性)を持っています。著者曰く、簡単に言うと「極度敏感気にしい」。そして、HSSはハイ・センセーション・シーキング(High sensation Seeking)の略。好奇心旺盛の刺激追求型の気質です。
そもそも、著者の染井アキさんがHSPを自覚したきっかけは、企画のたまご屋さんに応募したこと。配信された企画に興味を持ち、仮原稿を読んだ編集者から「もしかしたら、HSPでは?」と指摘されたのです。その指摘に衝撃を受けつつも、HSPだけでは説明がつかないこともあり、やがてHSSにたどり着きます。
そんな著者は、HSPとHSSを併せ持つがゆえのちょっと変わった体験をしていきます。
例えば、マルチ商法。知り合いからあやしいお誘いを受け、早い段階からそれが「マルチ商法」であることを知っていました。しかし、マルチ商法への興味が押さえきれず自らその世界に足を踏み入れる著者。その理由は、「マルチ商法のピラミッド型の図を描いて説明されるやつを見てみたい」から。そして、待ちに待ったその場面を体験します。ピラミッド型の図も描いてもらいました。ところが、途中から記憶が朧げに。なぜなら、好奇心の急降下がきていたから。そう。飽きてしまったのです。その後、契約をすることはありませんでした。
著者は人を信用せず、疑い深く生きているので、マルチ商法に興味はあっても、思想が強固すぎて冷静に見てしまうため、はまることはないのだそうです。
その一方で、祖母の家で見つけた着物がきっかけとなり、その魅力にはまっていきます。HSPは芸術に深く感動するという気質があり、美しいものが大好きで、美しいものに弱い。著者は、手の込んだ着物を見ると、胸がドキドキしたり、涙が出てくるのだそうです。
著者によると、HSPの特性の中でも特に人生をややこしくしているのが、共感能力の高さ、感情移入だといいます。病院に行くと、お見舞いや付き添いでも気分が悪くなってしまうのです。入院患者がいるような大きな病院では、力が入らなくなり、涙が出やすい状態になります。一時期は、霊感があるのではないかと考えてしまったほど。
さらに、話し合いをしているときなどに、相手の間違いを指摘することが苦手。感情移入により、指摘した後の相手が気まずい思いをするところまで想像してしまうため、自分が悪くないことでも主張できないといいます。
著者は、自覚がないままにHSP、HSSの特性とともに生活していたときは「普通」に執着していました。しかし、その生きにくさの原因を知ったことで、大半の人とは違うかもしれないが、自分の素直な欲求通りでいいと思えるようになっていきます。そして、長年、死んでいたプラスの感情が復活し、人生を楽しむ方向に変化してきたそうです。
本書には、HSP、HSSのエピソードが盛りだくさん。そして、冷静に自己分析をしているため、当事者ならではの「なぜ、そう感じるのか?」がよくわかります。「もしかしたら…」と思っている方は読んでみてはいかがでしょうか。著者のように、HSPを知ることで、人生が変わるかもしれません。(中山寒稀)
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