ハワイをもっと知りたくなる! リゾートだけじゃないハワイの魅力
ハワイといえば、白い砂浜や青い海が楽しめる人気のリゾート地。有名な観光地もたくさんありますね。それに加えて多くの神話が伝わる地でもあります。自然と共存してきたハワイアンは深い精神性を持つ民族であり、ハワイには日本の古事記やギリシャ神話に匹敵する濃厚な神話が息づいているのだそうです。本書では、そんな古典的なハワイ神話をわかりやすく解いています。
ハワイの人々は昔から、「老女を粗末に扱ってはいけない」と教えているそうです。その理由は、その老女が女神ペレかもしれないから。黒髪の絶世の美女として知られるペレは、時として白いムームーを着た白髪の老女として人前に現れることもあるそうです。ペレは火山の女神。怒らせると火山が噴火するとも言われています。
ハワイ島カウの地には、老女に不親切にしたことで溶岩に焼かれてしまった少女の伝説が残っています。
昔々、2人の少女が焚き火でウルの実(パンノキの実)を焼きながら自分の守護神について自慢し合っていました。そこに白いムームーの老女が現れ、1人の少女にウルの実とヒョウタンに入っている水を分けてくれるように頼みます。しかし、その少女はきっぱりと拒絶しました。次に、もう一人の少女に同じ頼みごとをします。その少女は老女にウルの実と水を分けてあげました。
老女は、分けてもらったウルの実を食べ、水を飲み、立ち去るとき、親切にしてくれた少女の親にこう伝えるように言い残しました。家に帰ったら親に食物を貯めておくこと、そして10日間、家の四つの角にカパ(樹皮布)でつくった旗を吊るしておくこと。少女からその話を聞いた親は、老女が女神ペレの変化だということに気が付きます。
10日後、キラウエア火山が噴火し、溶岩流が少女の住むカウ地方を襲いました。親切にした少女の家だけが何の被害もなく破壊を免れました。一方で不親切にしたもう一人の少女の家は、溶岩流に焼かれて跡形も残らなかったそうです。
また、母に月の女神ヒナ、父に人間のアカラナを持つ、半神のマウイも英雄として数々の偉業を残しています。そのうちのひとつが、高く澄んだ青空をハワイにもたらしたというもの。
大昔、ハワイの空は大地からしっかりと分離されておらず、低く垂れこめていました。雲がいつも頭上に覆っていて、この世はいつも薄暗かったのです。あまりにも空が低いため、人間は直立して歩くことができずに、どこに行くにも這って進まなければなりませんでした。植物は空に沿って横に伸び、木の葉が平たくなったのは、空に向かって押しつけられたせいだともいわれています。
そこで怪力のマウイが三度空を押し上げました。すると、この世が明るくなり、雲が遠のきました。雄大な山々が現れ、人々は直立して歩けるようになり、鳥たちも自由に飛び回れるようになったそうです。
人間味あふれるハワイの神様の物語は、とても楽しく読むことができます。明るいリゾートや観光地とは違った魅力や文化を感じることができるので、ハワイを訪れる前に読んでおくと楽しみ方が倍増しそうです。(中山寒稀)
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