企業と発達障害者がwin-winの関係になる、人材育成術
職場ではマイナスイメージを持たれやすい発達障害者。協調性がない、期限が守れない、同じ失敗を繰り返す……などなど。そして、発達障害の当事者も働きにくさを感じている人が多いようです。しかし、環境を整えることで、異能を持つ発達障害者は、企業の成長にとって必要な戦力になりえると本書の著者はいっています。企業が成長し、発達障害者も働きやすい。そんなwin-winの関係になるために、本書では、必要な職場の環境改善の方法について、提案をしています。
発達障害者の雇用は、健常者と変わりません。普通に「採用・研修・教育」を行い、「PDCA(計画・実行・振り返り・再チャレンジ)を繰り返すのみ。ただし、発達障害者には、ハードスキル(直接的な仕事のスキル)はあっても、ソフトスキル(仕事に関係するコミュニケーションや、振る舞い方、身のこなし、身支度などのスキル)が欠けていることが多いもの。そのため、雇用上のコツと配慮事項があります。
発達障害者とともに働く人には、「採用担当者(人事・総務など)」「上司」「同僚」の3つの立場があります。その中で、最も悩みを感じるのが上司でしょう。直属の部下ともなれば責任も大きくなります。例えば、期限が守れない、同僚社員からのクレームが来るなどの問題が起きた時。状況を把握するために当事者に事情を聞いても、要領を得なかったり、うまくコミュニケーションが取れないなど、すんなりと問題が解決しないことがあります。そんな時、上司はどうしたらいいのでしょうか。
その問題が解決しにくい原因は、情報不足と遠慮です。発達障害を持っている人は健常者以上にセンシティブ。怒られるとわかっていたら、「回避モード」になってしまうのです。事情を聞くときは、その目的を明確にし、相手の話に興味を持って傾聴する。上司が自分たちに関心がなく(=情報不足)、個々の思いに寄り添う気持ちがない(=遠慮している)と思ってしまうと、発達障害の当事者はイライラしたり、批判的になってしまうかもしれません。
また、発達障害の人を褒める場合にも注意が必要です。人は誰でも本能として、「認められたい・愛されたい・褒められたい」と思っています。もちろん、発達障害の人でも例外ではなく、褒められれば、仕事のモチベーションが育つのです。しかし、失敗体験(怒られる・けなされる・バカにされる)が多いため、自己肯定感が低く、褒められることに対する猜疑心が強くなっています。そのため、発達障害者を褒める時には、4つのポイントを押さえましょう。
“・その場で褒める ・褒める理由を明確にいう ・頑張りを評価する ・心からの思いをメッセージで伝える”
発達障害を持つ人は、苦手なことがありますが、総じて知能が高く、健常者にはない「異能」があります。そのため、適切な支援が受けられれば、企業にとって有益な人材の育つ可能性を秘めているのです。 本書では、職場での接し方から一歩踏み込んで、発達障害者の「思い」を理解できます。それにより、企業として成果を出すだけではなく、よりよい人間関係も作っていけそうです。(中山寒稀)
本書は、『発達障害のあなたが職場で長く働く方法』とともに、1つのたまご(企画)から生まれた書籍です。【ご購入はこちら▶】職場のあの人、もしかして発達障害?と思ったら
【本を出版したい人のために▶】セミナーのご案内