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歌を読む詩集 ~あゆとサザンで学ぶ詩の世界~

(根本 浩/金の星社/2005年3月)

授業の副読本としての活用を見込んで3冊シリーズで刊行。好評につき、翌年には5冊シリーズで発売された。

出版企画書

タイトル

※最大文字数120文字
歌の詩(うた)~歌う前に読め~

サブタイトル

※最大文字数200文字
あゆとサザンで学ぶ 詩の世界

キャッチコピー
(帯文)

※最大文字数200文字
いい歌、読んでもいい?

本書の内容

※最大文字数200文字
ジャンル:教養実用書
ヒット曲、名曲の歌詞を集めて、その歌詞を一つの「詩」として読み解き、解釈していく。詩の勉強として、練習問題なども付ける。

著者名

※最大文字数120文字
根本 浩

著者プロフィール

※最大文字数1000文字
文筆業、高校教師
昭和48年2月25日生まれ。茨城県出身。明治大学文学部卒。現在、茨城県立高校で国語を教える。平成12年度文学界同人雑誌優秀作において最終候補となり、以後、週刊誌、教育雑誌などで執筆活動を行う。著書に『にほんご語源教科書』(ソフトマジック刊) 

企画意図

※最大文字数1000文字
・現代人の口をついて出る日本語表現の形態の中でも、最もメジャーである「歌詞」に注目することで、人々の注目を惹く。
・歌詞自体の持つ詩的な価値に注目し、歌詞を一つの文学作品として解釈する。その斬新さと意味深さにより、読者の知的好奇心を満たす。
・歌詞の意味について深く解説した書物、雑誌は皆無であるという現状を踏まえて、本著でならではの企画のオリジナリティーを打ち出す。
・活字離れの若い世代にも、「手に取れる活字本」として親しみやすいものにし、その年代の購買意識を刺激する。
・CDのライナーノーツがマニアックな裏話、理解しにくい観念的な話で終わる事が多いことに注目し、歌詞をわかりやすく「解釈」する形態を提示する。
・日本語が見直されている現代、頻繁に使われる「日本語の作品」である「ヒット曲の歌詞」、その歌詞を文学として解釈することで、かつてない「日本語本」を目指す。
・中高年世代の「若者の歌に対するコンプレックス」を解消するために、「ヒット曲を文学する」という切り口で、中高年世代にも手の出せる若者向けの本として提示する。
・全体の構成を教育的見地からも十分対応できるように組み立てることにより、学校教育の副教材としても利用できるものにする。
・各有名アーティストにつく「コアなファン層」の高い購買欲に注目する。

企画の背景

※最大文字数1000文字
・「感動」「人の心」が見直されてきている現在だからこそ、ダイレクトに心に響く「歌 詞」を取り上げた
・日本語本として「あらすじ」「名作」などの小説に関するものが出尽くした現在だからこそ、歌詞という「わかりやすい詩」を取り上げた
・まだ日本語本にニーズのある現在だからこそ、日本語本としての新形態として、企画を打ち出した
・日本の歌謡曲シーンがメロディー、アーティストブランドに頼らず、よい楽曲と歌詞を消費者に提供する傾向にある今だからこそ、歌詞それ自体を取り上げた
・学校教育において「総合的学習の時間」がカリキュラムに組まれた現在だからこそ、全国の学生、教員の教材として有効なものとして、企画を打ち出した

読者ターゲット

※最大文字数400文字
・メインターゲット・・若者の心や風俗を知りたいと思う中高年
流行を追いかけながらも、どこかで真面目に何かを追求したい若者層
各アーティストの熱烈なファン

・サブターゲット・・日本語と詩に興味のある人間
学校教育関係者および生徒(学習の副教材として) 

類書

※最大文字数400文字
新しい切り口の企画のため、類書は存在しない 

この本を制作する
ために有利な条件

※最大文字数1000文字
・著者が以前、日本語本の出版において地元新聞で大きく取り上げられた事がある。今回も地元有力新聞、各タウン誌に取り上げてもらえる公算大
※著作権について・・今回の目次案で取り上げた歌については、日本音楽家著作権協会 (JASRAC)に問い合わせたところ、一曲3,000円以下で書籍に引用できるということでした。

目次構成案・原稿見本サンプル

目次構成案

※最大文字数4000文字
第一部 ビッグアーティストの歌で学ぶ

浜崎あゆみ

    ・SEASONS~失うことで輝くもの~ ★見本原稿
    ・Voyage~全ての人々と共に~
    ・A Song for ××~他人の「私」、「私」の「私」~

サザンオールスターズ

    ・TSUNAMI~男は永遠に少年の心~
    ・いとしのエリー~言えないからこそ愛している~
    ・希望の轍~旅立つことは生きるという事~

GLAY

    ・HOWEVER~感じ取ることが永遠の愛~ ★見本原稿
    ・グロリアス~生きることは希望を重ねるということ~
    ・BELOVED~振り返ったときに分かる大切な人~

smap

    ・世界に1つだけの花~本当の自分は誰も笑わない~
    ・らいおんハート~人と人が巡り合う奇跡~
    ・夜空ノムコウ~無力は絶望じゃない~

ミスターチルドレン

    ・CROSS ROAD~いつだって壊れやすく、それでも出会う~
    ・Innocent World~本当の自分って何?~

槇原敬之

    ・もう恋なんてしない
    ・どんなときも

宇多田ヒカル

    ・automatiC~あなたといることが私の永遠~
    ・COLORS~私の心の中にある私にも分からない何か~

  

第二部  つい口ずさむ歌で学ぶ国語

    クリスマス・イブ~叶えられないからこその純白~
    Can You Celebrate?~永遠の先にある不安と希望~
    M~あなたがそばにいない、という、すべて~
    LOVELOVELOVE~考えるよりも感じる気持ち~
    I love you~弱き人間がたった一つ持つもの~
    ALONE~孤独は全て繋がるための過程~
    地上の星~宝物は自らの隣に~
    天体観測~迷うから誰よりも光が欲しい~
    カブトムシ~愛する人がいるだけで起こる奇跡~
    恋人はサンタクロース~小さな恋が産みだす永久の伝説
    さくら~散りぬく花弁に託す別れ~

※1つの見出しにつき400字詰め原稿用紙6~7枚程度を目算しています。
※「ビッグアーティストのみ」「浜崎あゆみのみ」という構成も考えております。御検討いただければ幸いです。

原稿見本

※最大文字数8000文字
◆HOWEVER  GLAY

1) やわらかな風がふく この場所で
2) 今二人ゆっくりと歩き出す
3) 幾千の出会い別れ全て この地球(ほし)で生まれて
4) すれ違う人もいたね わかり合えないままに
5) 慣れない街の届かぬ夢に 迷いそうな時にも
6) 暗闇を駆けぬける勇気をくれたのは あなたでした
7) 絶え間なく注ぐ愛の名を 永遠と呼ぶ事ができたなら
8) 言葉では伝えることが どうしてもできなかった 愛しさの意味を知る
9) あなたを幸せにしたい・・胸に宿る未来図を
10) 悲しみの涙に濡らさぬ様 紡ぎ合い生きてる
11) 愛の始まりに心戸惑い 背を向けた夏の午後
12) 今思えば頼りなく揺れてた 若すぎた日々の罪
13) それでもどんなに離れていても あなたを感じているよ
14) 今度戻ったら一緒に暮らそう やっぱり二人がいいね いつも
15) Fu・・・孤独を背負う人々の群れにたたずんでいた
16) Fu・・心寄せる場所を探してた
17) 出会うのが遅すぎたねと 泣き出した夜もある
18) 二人の遠回りさえ 一片(ひとひら)の人生
19) 傷つけたあなたに 今告げよう 誰よりも 愛してると・・
   絶え間なく注ぐ愛の名を 永遠と呼ぶ事ができたなら
   言葉では伝えることが どうしてもできなかった 愛しさの意味を知る
幼さの残るその声を 気の強いまなざしを
20) あなたを彩る全てを抱きしめて ゆっくりと歩き出す
21) やわらかな風が吹く この場所で

【語句の説明・解説】

1)この場所  ・・具体的な場所ではない。どこにでもあり、どこにもない場所。愛する二人が共に繋がれた場所
1)二人ゆっくりと歩き出す・・共に人生を共有するという事 3)幾千の出会い・・幾千とは「限りない数の事」。おそらくここでは、今までの人類の営みの中の全ての出会いを指すと考えられる
5)慣れない街の届かぬ夢・・・慣れない街とは「東京」あるいは「大都会」を指すと考えられる。「届かぬ夢」の「ぬ」は打ち消しの助動詞。「届かない夢」という事。「東京で抱く実現が困難なほどのビックな夢」と言い換えることができるだろう
6)暗闇を駆け抜ける勇気・・暗闇とは夢に挫折しそうな若者に降りかかる不安や恐怖、無気力感などのマイナス因子。それらの困難を乗り越えてゆく「勇気」のこと
7)絶え間なく注ぐ愛=永遠・・「永遠」を追い求めることは、もっとも崇高な主題。しかし、科学的観点からすれば「変化」こそが唯一の「永遠」であり、つまり、「永遠」は「存在しない」ものとして扱われる。だが、人を真に愛するという瞬間は、はかないが超えることの出来ない瞬間として「永遠」に存在しつづける。
8)言葉では伝えることがどうしても出来なかった・・「言葉」は常に「不完全」なもの。理性や常識などでは、真実の愛は決して表現できない。そのくらい「愛」とは深いものである。だが、しかし、その言葉の足りなさ故に、今は「あなた」と遠くにいる作者の皮肉がある。
8)愛しさの意味を知る・・言葉で表現できないほどの「愛」の存在を「あなた」を通じて知ることが出来たのである
9)胸に宿る未来図・・今までの抽象的・観念的愛から変化して、現実的な愛の形としての幸せな2人の未来の事を指している
9)悲しみの涙に濡らさぬ様・・2人の未来が悲しいものにならないように
10)紡ぎあい生きてる・・「紡ぐ」とは「繊維をより合わせて糸にすること」「あなた」と「作者」が一本の糸のように絡み合い支えあいながら、先の人生を作り出すという事。だが、実際には今現在、「作者」と「あなた」は離れて暮らしているので、精神的な意味で「紡ぎあっている」事を感じるという事だろう
11)背を向けた夏の午後・・「作者」か「あなた」かそれとも二人か、ともかく相手に対してかつて不安や疑念を抱き、心が離れていった様子を指す。
12)若すぎた日々の罪・・11)と同じように幼いがゆえに不安に揺れ、精神的にせよ相手を裏切った心を「罪」と表現している
13)どんなに離れていても あなたを感じているよ・・ここから「作者」と「あなた」が現在、離れている状況が確信できる。しかし、そのように迷い苦しんでいた「作者」は、「愛」を再確認した今では、迷いを感じることなく「あなた」との一体感を感じているのだ。
15)孤独を背負う人々の群れ・・「作者」と同じように誰もがそれぞれの孤独を抱えて生きているということ
18)遠回りさえ一片の人生・・あれほどの悩みや苦しみでさえ、大いなる時間の前では、ひとひらの花びらのような微かなものでしかない。全ての苦しみや悲しみもいずれは移ろいゆくという無常観である。今そこにある2人の愛が全てだという事。
19)すべてを抱きしめてゆっくりと歩き出す・・・「あなた」のよいところ、悪いところも全てを受け入れて2人の人生を歩んでいくという覚悟
20)やわらかな風が吹く この場所で・・リフレイン。お互いの穏やかな心だけがある「この場所」から歩き出すという事。


<全体の物語>
お互いに愛していながら、その愛の重さに迷い、戸惑い、そして、離れ離れになってしまった2人。
だが、作者は思う。「あなた」の愛により、自分の夢に押しつぶされそうになったときにも、乗り越えて、そして、今がある事を・・・永遠と呼べるほどの絶え間ない愛の深さゆえに、言葉で愛を伝えられなかった作者・・それでも、「あなた」を今でも感じ、愛している作者は、やっぱり「ふたり」で全てをやり直そうと決意する。孤独な魂の彷徨の中でやっとみつけた安らぎ。それこそが「ふたり」の存在。そして、作者は今、「愛している」とこの詩の中で「あなた」に告げるのだ。「あなた」の全てと共に、ここから、2人はゆっくりと歩き出す・・

<鑑賞>
この詩に登場するのは、作者と「あなた」だけである。しかし、その2人の関係から、全ての人間の持つ不安や悲しみ、そして、愛の形までが見えてくる。それは、この2人の愛が永遠だからである。だからこそ、我々は作者と「あなた」の愛に自らの姿を見、共感する。言葉では通じ合えなくても、感じ取ることで存在する愛・・二人で暮らすという行為は、安易な解決ではない。一度、傷つけあいそれを乗り越えて、お互いを一体と感じた上で出したからこそ、そこに感動があるのである。


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◆SEASONS  浜崎あゆみ

1) 今年もひとつ季節が巡って
2) 思い出はまた遠くなった
3) 曖昧だった夢と現実の
4) 境界線は濃くなった
5) それでもいつか君に話した
6) 夢に嘘はひとつもなかった
7) La La ― i
8) 今日がとても楽しいと
9) 明日もきっと楽しくて
10) そんな日々が続いてく
11) そう思っていたあの頃
12) 繰り返してく毎日に少し
13) 物足りなさを感じながら
14) 不自然な時代のせいだよと
15) 先回りして諦めていた 
16) La La ― i
16) 今日がとても悲しくて
17) 明日もしも泣いていても
18) そんな日々もあったねと
19) 笑える日がくるだろう
20) 幾度巡り巡りゆくて
21) 限りある季節の中に
22) 僕らは今生きていて
23) そして何を見つけるだろう

語句の解説
2)思い出はまた遠くなった・・かつての恋人との思い出のことか、あるいは、抱いていた夢のことか。熱い思いが徐々に時や日々の生活に流されていく寂しさが現れている
3)4)夢と現実の境界線は濃くなった・・夢を現実にすることをあきらめつつあるという事。かつては夢はいつか現実になるものであったが、今では夢は夢でしかないと諦めている
6)夢に嘘はひとつもなかった・・いまでは遠くなってしまった夢だが、その気持ちに偽りは無かった。夢を見るための夢なんかじゃなかった
8)9)今日がとても楽しいと明日もきっと楽しくて・・不安なく、明日に希望だけを見つめていた純粋な時期のこと。ある意味、大人に染まる前の汚れない頃の話といえるはず。
10)11)そんな日々が続いていく そう思っていた あの頃・・つまり、今はそうは思うことができないという事。希望を無邪気に信じられなくなった今だからこそ、かつての自分が哀しくも愛しく感じられるのである。
12)繰り返していく毎日・・・穏やかではあるが、決まりきったルーティンな日々 12)物足りなさを感じながら・・平和であることは誰もが望み、うれしいことである。しかし、それが繰り返されれば、そこに生きがいを見出せなくなっていくというのも、また事実なのである。
14)不自然な時代時代・・豊かで平和なはずなのに、どこか不透明で不安な時代。思うとおりに生きられないストレスに満ちた今の日本の事を指している
15)先回りして諦めていた・・自分が希望や夢を忘れてしまった事を深く考えることが怖くて、「こういう時代だから・・」という答えを用意して、先回りして逃げてしまう孤独な少女の姿がある
18)19)そんな日々もあったねと 笑える日がくるだろう・・これだけ不安に満ちた時代に夢を忘れている自分が、時に辛くて泣いてしまうとき、その悲しみは永遠に続いてしまうかのようにも思える。しかし、いつかはそれを乗り越えていける、いつかは今の自分を乗り越えて、本当の幸せを見つけられるだろう、見つけて見せるという作者の希望が感じられる。 
20)21)幾度巡り巡りゆく限りある季節の中に・・人生や時の流れの中で季節は同じように幾度も巡っていく。そして、決してとどまることなく、いつかは過ぎ去っていく。いま、僕達が生きている季節は二度と巡っては来ないし、そして、そこに限りもある。ある意味ではかない世界なのである。
22)23)僕らは今生きていてそして何を見つけるだろう・・そのような、はかない世界の中、いつか終わっていく季節の中に、僕達は生きている。でも、僕達は今、そこでしか生きられない。何を見つけるか、何を得るか、どういう人生を生きるかは全て、自分自身が決定するのだ

<全体の物語>
かつて、幼い頃は、夢を信じていた。希望を信じて疑わなかった。でも、いつのまにか現実に飲まれて、夢と現実とは違うものと考えるようになっていた。それでも、夢を言い訳にしていたわけじゃない。夢を忘れたわけじゃない。現実を見るようになって、日々の生活の不満や絶望や孤独と向き合うのが怖くて、時代のせいにして生きてもいた。でも、このはかなく移り変わっていく季節の中で、「今」を生きているのは、自分自身。過ぎ去っていく季節に生きているのは僕たちなのである。そこで何を見つけられるかどうかという事が、僕達の「夢」でもある。何かを見つけていきたい、見つけてみせる希望が僕達には、ある。

<鑑賞>
喪失感を基調にしながらも、どこか雨上がりの晴れ間のような希望も漂う詩である。それはメロディの印象によるものではなく、あくまで詩の中で喚起された晴れやかさである。「喪失感」を抱えながらも、喪失することに絶望しない作者の祈りが込められていると言い換えてもいいだろう。詩の中ではほとんど「希望」を感じさせる単語が無いことが、逆に作者の真情をくみ取らせる。直接的なメッセージではなく、その周辺にスポットを当てることによって、メッセージ以上のメッセージをたくしているのである。