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ねこ背は治る! ──知るだけで体が改善する「4つの意識」

(小池 義孝/自由国民社/2011年10月)
読んで知るだけでカラダが変わる、画期的な一冊。他の出版社での派生企画も含めると、 30万部以上のベストセラー(2013年3月現在)となっている。

出版企画書

タイトル

※最大文字数120文字
読めばカラダが治る本

キャッチコピー
(帯文)

※最大文字数200文字
難しいトレーニングはいりません。読むだけで、貴方の身体と心が変わります

本書の内容

※最大文字数200文字
健康のための実用本です。治療や難しいトレーニングは必要ありません。読んで知るだけで、呼吸が深くなり、猫背が治り、腕力が上がり、速く歩けるようになる、知れば納得の知識です。

著者名

※最大文字数120文字
小池 義孝

著者プロフィール

※最大文字数1000文字
小池 義孝は、一義流気功の看板で気功治療院を運営しています。

豊富な治療経験があり、その中でこの「知るだけで身体が変わる知識」を多くの人達にレクチャーしてきました。
呼吸は1分のレクチャーで、猫背は5分のレクチャーで、腕力は1分のレクチャーで、歩く速度は5分のレクチャーで、明らかな改善をします。
☆生年月日 1973年 7月19日
2006年 一義流気功 治療院を設立
http://www.ichigiryu.com/
2007年 一義流 気功教室を設立
http://www.healing-t.com/

企画意図

※最大文字数1000文字
○この本を企画した理由

この本に書かれている内容が世の中に浸透すれば、大きく常識が覆ります。そして多くの人が健康を増進させ、病気や痛みで悩む人が減ります。またより良い精神状態で、人生を送るようになります。 知るだけで、人生が改善される土台になります。それを多くの人に広めたいのです。

○この本が売れる理由
【呼吸】
・ほとんどの人が、実は呼吸を浅くしてしまっているが、気付いていない。潜在的な需要が大きくある。
・身体の構造を正しく知るだけで、その場で呼吸の仕方が半ば自動的に変わり、呼吸が深くなる。
【猫背】
・ほとんどの人が、猫背の原因は曲がっている背中にあると思っている。この認識で猫背を治そうとしても、まず治らない。猫背を治したい需要が大きい。
・読んで知れば、それだけで自分で猫背が簡単に治せる。
【腕力】
・ほとんどの人が、腕の使い方のイメージを間違えている。そのせいで、使える腕力が弱くなってしまっている。潜在的な需要は大きい。
・読んで知って意識をするだけで、より力強く腕力を発揮できる。トレーニングは要らない。
・これを知っていれば、腱鞘炎、肘・肩の痛み、腰痛の予防にもなる。
・スポーツに応用すれば、パフォーマンスが向上する。
【歩く速さ】
・ほとんどの人が、足の使い方のイメージを間違えてしまっている。そのせいで歩くスピードが落ち、また骨盤の歪み、腰痛、血行不良などの原因になっている。潜在的な需要が大きい。
・読んで知って、意識して慣れれば、歩くスピードが格段に速くなる。
・骨盤の硬直がほぐされ、全身の血流も良くなる。
・ウォーキングが格段に気持ち良くなる。

このように、明確な需要も大きく、掘り起こせる潜在的な需要も大きい内容です。

企画の背景

※最大文字数1000文字
・健康意識の高い人は多く、現状ではサプリメント、食品、冷えなどに関心が集まっている。その中で「身体を知る」とう観点は、未だに広まっていない。だからこそ、このタイミングで「身体を知る」健康法を提案するべきだと考えています。
・身体を知るというコンセプトは、武道やヨガなどで探求される分野としてあり、一般には敷居が高く、馴染みの薄いものでした。この本は敷居が低く、有益な知識が一般常識化するのに十分な理解し易さと、実感の得やすさがあります。
・サプリメントや健康食品の広告のように、誰かが儲かるための健康情報は溢れています。今、多くの人は、本当に健康になれる純粋で有益な情報を求めています。
・健康に良い体操やトレーニングなどは、最初だけで続かないケースが多いものです。多くの人は今、もっと手軽に簡単に健康効果がある情報を求めています。けれどそれが存在するとは、あまり想像もされていません。この本の内容は、驚きをもって受け入れらる要素を多く持っています。

読者ターゲット

※最大文字数400文字
メインターゲットは、猫背や呼吸が浅いと実感している人。身体に興味が強い人です。
サブターゲットは、健康や身体が良くなる事に少しでも興味がある人です。 

類書

※最大文字数400文字
高岡 英夫氏の「究極の身体」
アレクサンダーテクニックの関連本
姿勢矯正の本
などが類書になります。 

類書との差別化

※最大文字数400文字
身体の関連本はマニアックなものが多く、スポーツや武道を探求している人がターゲットでした。
私の企画では、一般の人達に広く読まれることを意図しています。そのために難しい内容は何もなく、専門用語も使っていません。例えば「大腿四頭筋」という表記もせず、「太腿の前の筋肉」といった表現になっています。 

体裁など(案)

※最大文字数200文字
なし

原稿完成の予定

※最大文字数200文字
イラストを除いて、原稿は完成しています。

企画者の要望

※最大文字数400文字
イラストを加えて完成度の高いものに仕上げてください。参考の写真は用意してあります。

この本を制作する
ために有利な条件

※最大文字数1000文字
・企画者はこの本の内容について、多くのレクチャーを行っており、実際に豊富な実例を元にして書いています。
・メルマガやブログで宣伝できます。

目次構成案・原稿見本サンプル

目次構成案

※最大文字数4000文字
呼吸の章

    呼吸は生命活動の根幹
    自分の呼吸を確認してみよう
    呼吸を深く、安定させよう
    今、何が身体に起こったのか?
    呼吸が深くなると、身体は変わる
    呼吸が深くなると、運動能力が向上する
    呼吸が深く改善すると、心は安心する
    胸式呼吸と腹式呼吸
    肺以外の臓器は大丈夫か?

姿勢の章

    胸を張って、背筋をピンと伸ばす! これが良い姿勢?
    大腿骨で身体を支える
    猫背になる、本当の原因
    正しく座ると、書くのも打つのも楽になる
    一般常識は、ただの多数決
    正しい姿勢で、首コリ、肩コリ、腰痛が改善
    歩くのが速くなり、動き出しも機敏になる
    正しい姿勢は、心も真っ直ぐにさせる
    正しい姿勢は、人生を変える

腕の使い方の章

    二種類の腕の動き
    肩甲骨について学びましょう
    肩甲骨を使いこなそう!
    もっと肩甲骨を使いこなそう
    肩甲骨を使うと、腰痛にならない?
    スポーツ、運動能力の向上
    肩甲骨の付け根意識が、心を伝える

足の使い方の章

    足はどこから生えているの?
    正しく美しく、力強く、速く歩く
    少しだけ、背骨の意識を強くしてみる
    骨盤が良くなる、呼吸が良くなる、血流が良くなる……
    上半身と下半身とを、高度に連動させる意識
    正しく歩くと、心も正しくなる
    心と動作をつなぐ

原稿見本

※最大文字数8000文字
・胸を張って、背筋をピンと伸ばす! これが良い姿勢?

【イラスト】

胸を張って、背筋を無理に伸ばしている人の図。

このイラストのような格好を、良い姿勢だと思っている人がほとんどです。胸を張って、背筋はピンと綺麗に伸びているように見えます。私も子供の頃、嫌という程、この姿勢をしつけられました。けれどこの格好は、強く意識している時には良いのですが、少しでも気を緩めると元に戻ってしまいます。その度に「背筋、ピンッ!」と母の厳しい声が飛んできたものでした。頑張ってこの格好を維持していれば、やがては良い姿勢が当たり前になる。この頃は、そんな風に漠然と考えていました。それは母も同じだったようです。何年も何年も、根気良くしつけられ続けましたが、私の猫背が矯正される様子はありませんでした。そして猫背のまま大きくなり、とうとう間に合わず、大人になってしまいました。胸を張って背筋を伸ばすのは、気持ちの良いものです。たまにすると心のモヤモヤが取れて、リフレッシュします。けれどだからと言って、長時間は持ちません。無理に上体を仰(の)け反(ぞ)らしているので、次第に疲れてきます。気を抜いた瞬間に、元の猫背に逆戻りです。姿勢を良くしようと意気込んでいる時には、猫背に気付いては仰け反り、また気付いては仰け反りの繰り返しです。子供の頃に取り組んで駄目だった方法ですから、大人になったからと言って、成功するはずもありません。どんなに頑張って背筋を伸ばしても、その時だけで、一向に癖が変わってくれる気配はありません。結局、猫背でいた方が楽だという事です。人間は楽な方へ、楽な方へ流れます。どんなに強い意識の力があっても、他の何かに注意を向ければ、気が抜けてしまいます。この方法で猫背を矯正するのは、私には不可能だと、遂には諦めました。これが20代半ばの頃です。子供の頃からですから、20年は努力してきた計算になります。思い出した時にやってみる程度でも、大変な年月を費やしたものです。実に気の長い話です。私が小学校の頃には、竹定規を背中に入れる先生がいました。服の中に入れられた定規の感触は、心地よいものとは言えません。硬くて痛く、くすぐったくもあり、身をよじらせて逃げようとしました。定規と言えば、正しく真っ直ぐな物の代表です。子供たちに真っ直ぐな感覚を覚え込ませようとする、優しい親心なのでしょう。けれどこの方法で猫背が治った子供は、卒業まで一人もいませんでした。無理に背筋を伸ばして固定した所で、そうそう猫背は矯正されません。これと似たような物は、実は形を変えて、商品化されています。背筋(姿勢)矯正ベルトです。テレビショッピングでもお馴染みです。背筋を伸ばす形で締め付ける物で、これなら、意識が途絶えても大丈夫です。付けている時には、何時でも良い姿勢を維持してくれます。けれど外してしまえば、当然、また猫背に戻ろうとします。猫背が治るという所までは、効果を発揮できないようです。また強引に姿勢を維持させているので、付けている内に苦痛になるケースも多くあります。背筋(姿勢)矯正ベルトをもってしても、目覚ましい効果はありません。増してや教室の竹定規には、荷が重いはずです。また姿勢が悪くなってしまう原因を、筋肉が衰えているからだと主張する人もいます。背筋や腹筋を鍛えると身体が支えられるようになり、姿勢が安定するという事です。胸を張って背筋を伸ばす努力は、確かに筋力が必要です。筋力自体がアップすれば、より楽に良い姿勢を維持できるという理屈かもしれません。けれどこの考え方には、私は反対です。極端な運動不足、病的に筋肉が弱っているレベルでなければ、そんなケースにはなりません。日常生活を普通に送れるレベルの人が、筋力不足で姿勢が悪くなってしまう。これは、あまり考えられません。結局は、無理に背筋を伸ばす解決方法が、そもそもの間違いです。それでは、「姿勢が悪いから、姿勢が悪い」と言っているようなものです。猫背になってしまう原因は、決して猫背だからではありません。この間違いから抜け出せれば、その時から矯正ベルトもジム通いも要らなくなります。私の20年以上の努力も、虚しいだけです。正解を知れば、姿勢の改善は一瞬です。

・大腿骨で身体を支える

人間が猫背になってしまうのは、立っている時、座っている時です。寝ている時には、猫背にはなりません。これは当たり前ですけれど、もう一つ、 猫背にならない状態があります。それは膝立ちをしている時です。

【イラスト】

膝立ちをしている姿。真横からの図。

このように膝立ちをしていると、背筋がスッと伸びます。実際に試してみてください。もし猫背になってしまっていたら、身体のどこかに異常があります。その場合には、異常をケアするのが先決です。 如何でしょうか。普段は猫背ぎみの人でも、自然な形で良い姿勢になれたと思います。無理に頑張って背筋を伸ばす必要もありません。ここで背筋と腹筋の弱さ説は、説得力を失います。もし本当に筋力不足が原因だったら、膝立ちでも猫背になってしまうはずです。では何故、膝立ちだと姿勢が良くなるのでしょうか。

【イラスト】

左 膝立ちをしている姿の骨格図。真横から。
右 膝の部分のアップ。

骨だけで見てみてください。太腿の太い骨を、大腿骨(だいたいこつ)と呼びます。骨盤と上半身全体が、大腿骨に支えられています。太く頼もしい骨に乗っているので、骨盤が安定しています。変な傾き方はしていません。ですから背骨もその上で、綺麗に伸びていられます。美しい姿勢は、こんな風に作られていきます。骨が骨を自然に支えて、無理のない状態です。右の図を見てください。膝が一点で、重さを支えているのが解ります。膝のすぐ上には大腿骨があります。膝立ちは無条件に、大腿骨で身体を支える姿勢を作ります。大腿骨に上手に乗れば、人間は良い姿勢に楽に到達できます。
膝立ちの姿勢で、ちょっと無理にスネに体重をかけてみてください。太腿の前の筋肉が張ると思います。これは大腿骨から外れたために、筋肉で身体を支えたという事です。この時には、身体も仰(の)け反(ぞ)ってしまいます。骨が骨を自然に支えられなくなり、バランスが崩れている状態です。倒れないで頑張っているためには、筋肉を踏ん張らないといけません。結果として、姿勢も崩れてしまいます。
良い姿勢というものは、このように、骨が自然と立っている状態を指します。決して無理に背筋を伸ばして、強引に作るものではありません。膝立ちをした時に、楽にスッと伸びる背筋。ここに正解があります。膝立ちの時は良くても、足の裏で立つと、やっぱり猫背に戻ります。元々が猫背の人にとっては、これで普通です。がっかりする事はありません。今から、その理由を説明します。猫背が治る光明は、もう見えています。膝で立つのと、足の裏で立つのとでは、何が異なるのでしょうか。大腿骨は膝とは接していますが、足の裏からは、遠く離れています。この違いがあります。

【イラスト】

大腿骨から足先までの骨格図。正面から。
膝の下にスネの骨が二本あって、足首があります。その下に足の裏です。大腿骨に乗るためには、繋がるスネの骨に乗らなければなりません。スネの骨は二本ありますが、乗るのはもちろん、内側の太い方です。外側の細い方では、体重を乗せるには頼りありません。太い骨のサポート位に考えておいてください。

【イラスト】

両方の足の裏の図。スネの太い骨を透けさせる。
足の裏から見た、スネの太い骨の場所です。この場所に体重を乗せてください。肩幅くらいに足を広げると、判り易くなります。そうするとスネの太い骨に乗って、大腿骨に乗って、膝立ちと同じような状態になります。少し内側に絞るイメージになります。足の裏は地面に触れている面積が広いので、膝立ちのように、一点では支えられません。スネの太い骨を中心にして、 広範囲で支えるようなイメージになります。
この時にスネの太い骨に乗る意識を強く持ってください。如何でしょうか。スネの太い骨に乗るイメージが強く持てたら、成功です。しっくりと来るまで、微調整をしながら試してみてください。
スネの太い骨に乗れたら、今度は全身の力を抜きます。立ちながら力を抜くのは怖いでしょうが、思い切って抜いてみてください。実際に力が抜けて、倒れてしまったりはしません。立つのに必要な筋力は、無意識に残ります。そして自分の背筋を意識してください。スッと楽に、自然に伸びていれば成功です。無理に胸を張って、背筋を強引に伸ばすのとは違います。背筋自体には、全く力を入れません。これが本当の良い姿勢です。
おそらく貴方は今まで、こんなにも脱力して立った記憶がないと思います。上手に骨格で身体を支えてあげると、立っている姿勢は、ここまで楽なものです。立ったまま休んで、疲れた身体も癒せる程です。
ここで逆に、背中の筋肉に違和感を覚える人もいます。人間の身体は、使われていないと衰えるものです。正しい姿勢を知らなかった身体は、それを維持するのに必要な筋肉を作ってきていませんでした。慣れの問題ですから、心配は要りません。身体は後から付いて来ます。

・猫背になる、本当の原因

猫背になる本当の原因は、正しく骨に乗れていないからです。足の裏は広いので、つま先から踵(かかと)まで、好きな所に体重をかけられます。体重をかける場所を、スネの太い骨から外すと、姿勢が崩れてしまいます。猫背になる重心の外し方は、つま先に寄っています。

【イラスト】

左 体重を前に乗せて、腰を引いて、上体が前のめりになっている人の図。横から。
右 両足の裏の図。前側に体重が乗っている事を表現するために、楕円でつま先寄りを塗りつぶす。

解り易いように、極端な例でご説明します。イラストのように体重が前にかかると、このままでは倒れてしまいます。倒れたくないので、腰を後ろに引いてバランスを取ります。すると上体がくの字に曲がり、前のめりになります。前に屈めば、猫背でいた方が楽に決まっています。これが猫背になってしまうメカニズムです。
実際にやってみてください。つま先に体重を乗せただけで、腰を引き、上体を前に屈めてしまいます。これは普段から行っている、無意識のバランス調整です。そして今度は逆に、踵(かかと)に思いっきり体重をかけてください。そのままでは後ろに倒れてしまいますから、腰を前に突き出します。先ほどとは逆側に、上体がくの字に曲がります。こうした形での悪い姿勢の人も、中にはいます。けれど自分では、大抵は、姿勢が良いと思い込んでいます。胸を張って背筋をピンと伸ばす、一般常識と条件が揃うからです。一般常識だからといって、正しいという保証はありません。保証されているのは、それが広く共有されているという事実だけです。当たり前の認識すぎて、ほとんどの人が疑いすら持ちません。私もその一人でした。意味のない努力を疑いもせず、20年間もしてしまいました。一般常識が持つ説得力は、本当に侮れません。
踵(かかと)に体重を乗せる立ち方は、お腹の大きい人に見られます。お相撲さんが歩く姿を想像すると、楽にイメージできます。お腹が大きくて重いと、前に倒れそうになります。踵(かかと)に体重を乗せると、上手くバランスが取れます。こういうタイプの人には、正しい姿勢の立ち方は、役に立ちません。体重を踵(かかと)に乗せた姿勢が、より合理的になります。ただ健康面を考えると、このレベルまで太るのは考え物です。
猫背のメカニズムを、もっと深い理解していきます。スネの太い骨を意識して乗る、正しい姿勢の立ち方をしてください。全身の力を抜くのを、忘れ ないでください。体重をかける場所を変えずに、あえて猫背になろうとしてみてください。無理に首を前に曲げなければ、猫背を作れないはずです。その姿勢を維持し続けるのは、辛いと思います。
これをセミナーの受講者にやってもらうと、衝撃を受けた、驚きの表情になります。今まで猫背でいる方が楽で、どんなに頑張っても悪い姿勢が治らず、悩んで来られた人達です。青天(せいてん)の霹靂(へきれき)と言っても、言い過ぎではありません。逆に猫背の方が辛く、背筋がスッと伸びた姿勢が楽なんて、信じられない事実です。
正しい姿勢の立ち方の本質は、ここにあります。猫背は結果ではありません。足の裏の間違った重心のせいで、倒れそうになる身体を修正する手段です。手段を矯正して治そうとしても、上手くいくはずがありません。無理に良い姿勢に見えるものを作って、身体に辛い思いをさせるだけです。表面上だけを追ってしまうと、このように間違いに間違いを重ねてしまいます。指で糸をつまんで、振り子を揺らしている様子を想像してください。大きく揺れている先端は、猫背になっている背中です。足の裏の重心が、糸を持つ手です。振り子の先は目立ち、糸を持つ手には注意が向きません。振り子を動かしているのは、人間の手です。けれどその手の動きは、ほんの小さなものです。先端の大きな動きを目の前にすると、こちらに意識が集中します。小さな静かな原因は、大きな目立つ物の前に、かき消されてしまいます。猫背になってしまう原因として、足の裏の重心の場所は、あまりに小さ過ぎます。ほとんどの人から、見過ごされてきても仕方ありません。猫背の場合には、原因と症状が同じものと考えられてきました。それが常識でした。猫背だから、猫背になってしまうという理屈です。振り子の先が揺れるのは、振り子の先が揺れているからだ、という事です。原因を正しく理解できれば、治すのは簡単です。ただ振り子を揺らす手の動きを、止めれば良いだけです。違いは、知っているか、知らないかだけです。そして貴方は、今、知っている側になっています。

適切な場所に重心を置けず、つま先に寄ってしまう。そもそも何故、こんな現象が起こるのでしょうか。
つま先に寄るとは言っても、本当に指先に体重を乗せている人はいません。 多くの猫背の人は、足の裏の中心あたりで立っています。ここに体重を乗せるのは、おそらく単純な理由です。足の裏は広いです。 半ば無意識に人間は、この広い足の裏で、どこに乗ったら安定するかと考えます。注意を向けている訳ではないので、思考能力は高くありません。考え た本人が自覚を持てない程の、小さな小さな思考です。この頼りない頭脳は、全体の骨格や筋肉などは考慮しません。なので取りあえず、真ん中に乗っ ておけば良いだろという結論に至ります。膝立ちで正しい姿勢になるのは、最初から点で立つしかなく、正解しかないからです。びっくりする程、単純 な思考回路です。
実際に真ん中に乗ってみると、バランスがおかしい。けれど少々のバラン スの狂いであれば、微調整はいくらでも利きます。本人はまだ、異常を認識していません。猫背でおかしな姿勢になって、初めて問題に気付きます。誰 かに指摘されたり、写真で自分の姿を見たり、切っ掛けはそれぞれです。しかし根本の間違いには、ほとんどの人が気付けません。いくら真剣に考えて も、注意を向けるのは丸まった背中だけです。足の裏の中心に、体重をかけてしまっている。この正解は遠いです。
スネの太い骨の位置と、足の裏の中心とでは、距離としては近いように見えます。しかし明らかに、この二つは違うものです。体重がつま先に寄れば 、その分だけ、バランスが大きく崩れます。ですから腰を後ろに引く動作も、大きくなっていきます。上体の前傾もきつくなります。先ほど見てもらっ たのは、あくまでも極端な解り易い例です。実際のほとんどは、もっと小さい、ささやかなズレです。腰の引きも小さく、よほど注意しないと気付きま せん。上体が前に屈むのも、腰の付近では目立ちません。けれど肩の近くになると、猫背として目に付きます。
小中学校の時に使った分度器を思い出してください。一度の角度の違いは、スタート地点では数ミリです。けれどそこから遠くなる程、引いた線と線は離れていきます。 やがて違いが目立つようになります。これと基本的には同じ原理です。また背骨はS字になっていて、猫背の部分は元々が丸まっています。それが全体に前に屈んでいるのですから、目立って当然です。