2019 年 01 月 08 日

【その19】「商業出版」と「自費出版」の違いをご存知ですか?

●出版形態
新年、あけましておめでとうございます。

ここをご覧の方の中には、元号がいよいよ30年ぶりに替わろうとしている記念すべき年に、出版という目標を達成しようと志す方も多いのではないでしょうか。



出版を目指すにあたって、まず、基本的な専門用語を押さえておきましょう。

出版には大きく分けて、その必要となる諸経費を出版社が全額負担する「商業出版」と、著者が全額負担する「自費出版」とがあります。

出版もビジネスの一種です。

誰かの書籍を世に出すにも、まとまったお金がかかるのです。

そして、その負担した出版費用を、書籍の売上げで回収できなければ、出版社は続けていけません。



著者の原稿を編集し、1000冊ほどの書籍を制作するには、最低でも100万円、一定水準以上のクオリティのものに仕上げるには、装丁や校正などを外注に出して150万円~200万円ほどが必要とされます。

ただし、その書籍は「作品」ではあっても、人々がお金を出してでも求めてもらえる「商品」にはなっていないかもしれません。

その書籍の販売を促すために、書店への営業活動、マスコミ向けのプレスリリース活動、SNSや出版イベントなどを通じて一般向けのプロモーション活動も行わなければなりません。

書籍の在庫を保管する倉庫の費用も、出版社が持ちます。

そのほかにも、書籍を全国の書店に流通させる役割を担う「取次」の利用など様々な経費がかかるため、1冊の本を商品として世に出すためには、ざっと300万円はかかると認識していただきたいです。

この300万円ほどの諸経費を、出版社のリスクで全額負担していただけるなら、それは商業出版です。

もし、その書籍の売上げが不振で、投資した出版費用を回収できなければ、その損失を出版社がかぶらなければなりません。よって、そう簡単に商業出版の企画は採用されないのです。



一方で、こうした出版の諸経費を著者が全額負担するなら、自費出版です。

自費出版であれば、著者がお金さえ払えば必ず出版できます。

しかし、それが100万円~200万円程度の出資であれば、とりあえず「本という形ができるだけ」「書店の棚には、せいぜい1冊差してもらえるかどうか」で精一杯なのです。

自費出版の本を販売促進するには、著者がさらにプロモーションのためのお金や労力を掛けなければなりません。

過去、自費出版の本がベストセラーに大化けした例は、いくつかあります(『佐賀のがばいばあちゃん』『B型自分の説明書』『リアル鬼ごっこ』など)が、さまざまな幸運が偶然に一点で重なった奇跡というべき出来事ですので、ゆめゆめ期待しすぎてはなりません。

もし、プロモーションまでしっかりやってくれる自費出版をご希望であれば、最低でも300万円以上の負担は覚悟すべきだと私は考えます。

「せっかく自費出版で本を出したのに、どこの本屋にも置いてない! おかしいじゃないか!」と、著者と出版社の間でトラブルになってしまいがちなのは、そのシビアな事実を、著者の側がご存知ない(あるいは、出版社の側の説明が不足している)ためなのです。

「とにかく『自分の本』という体裁が欲しい」「みんなに『自分の本』を配ってまわれば十分だ」という方は、自費出版で結構かもしれません。

しかし、「せっかく出版するからには、書店に置かれなきゃ意味がない」「出版というビジネス活動に、著者として貢献したい」という志をお持ちの方は、商業出版にチャレンジしてはいかがでしょう。



NPO法人企画のたまご屋さんの「ほんたま」では、商業出版の編集者にのみ、著者候補の皆さまをお繋ぎしています。

費用は一切かかりません。

あなたが出版を実現なさった暁に、当法人の活動費用を印税の中から分けていただくかたちですので、あなたの懐は痛みません。〔長嶺超輝〕