2018 年 08 月 24 日

【その7】出版企画書は「私に300万円ください」という図々しい頼みごと

●出版企画書
ご自身のビジネスを加速させようとして、世の中の役に立ちたいと願って、あるいは この世に生きた証を残そうとして、「自著の出版」という目標を立て、努力している方々はますます多くなっています。

出版は、著者にとって「言論の自由」「表現の自由」を満たすための重要な行為だといえます。

あとは、印税をもらえるので、臨時収入にも期待できるでしょうか。


では、出版社にとって、出版とは何でしょう。

もちろん、出版社の立場なりの「表現の自由」を満たす意味あいもあるのですが……

それ以前に、出版社にとっての出版行為は、投資を回収し、利潤を上げなければならない「ビジネス」に 外なりません。


「本を出したい」と願う出版志望者の中には、本を出版するために誰が費用を出しているのか、すっかり想像から抜け落ちている方が意外と多いように感じています。

何年かけても、なかなか出版企画が通らないため、「今までにない画期的な企画なのに、編集者は、どいつもこいつも見る目がない!」と言わんばかりに、不満を述べる方もいます。

これだけは忘れないようにしてください。

著者が出版企画書を出すこと、それは、「私の本を出すために、費用を出資してください」と、出版社に図々しくお願いをする行為なのです。

印刷費用や各種外注費、書籍の流通保管代、営業プロモーション費用など、出版諸経費が仮に300万円かかるとしたら、出版企画を売り込むことは「すみません、300万円ください!」と、出版社に頼んでいるに等しいのです。

普通、300万円もらえません。こんなものは本来、異常なことなんですよ。
そんなふてぶてしい頼み事が、そう簡単に聞き入れられるわけがありませんよね。

つまり、いくら表現として素晴らしい原稿だとしても、それだけで出版が決まるわけではありません。

たとえ、表現としてはつまらなくても、「社会に求められ、かつ、財布を出して購入してもらえる内容」なら出版が決まるのです。

役に立つノウハウでも、読み物として励まされたり笑えたりするものでも結構です。

読者に何らかの得るものがあれば、社会に求められる表現であり、平たく言えば「売れる」表現です。

売れる表現とは、出版社が先行投資した出版費用を売上げで回収し、さらに売り伸ばして利潤を上げられる表現のことです。

その見込みがあるからこそ、出版社に企画が採用されるのです。

あなたの企画書には、300万円を引き出す力がみなぎっていると、そう言い切れるでしょうか。

3万円でも30万円でもありません。300万円です。〔長嶺超輝〕