前回は、読者にとって理解しやすい文章を書くには、項目の「順序」、つまりアウトラインが重要だとお伝えしました。
前回の記事で、例として掲げさせていただいたテーマ 「夏野菜カレー」の項目をもう一度掲載します。
カレーには、ウコンなどのスパイスも含まれている。
夏野菜と他の野菜の違い
そもそも夏野菜って、どんなもの?
より美味しくなるワンポイント
水の量は?
夏のカレーは傷みやすい
カレールーを溶かす
夏野菜ドライカレー
野菜を刻む
夏野菜の健康効果
どの肉を炒める?
野菜を素揚げしてみる?
ヒントは「グループ分け」と「包摂関係」でした。
たとえば、グループ分けとして
『■作り方は?』『■夏野菜とは?』『■その他』の3つを置いて、それぞれの項目を分類してみましょう。
その上で、最低でも
『■作り方』に関しては、一般的な段取りの通りに順序を並べ替えます。
ここは常識的な調理法の通りに書けばいいので、それほど難しくありませんね。
そして、包摂関係として、「・より美味しくなるワンポイント」の中に「・野菜を素揚げしてみる?」が含まれていることに気づきましょう。
夏野菜カレーを作る上で「野菜の素揚げ」は、できればいいけれども、必ずしなければならない手順とは言えないからです。
正解はひとつではありませんが、もし私が書くなら、次のようなアウトラインをつくります。
■夏野菜とは?
・そもそも夏野菜って、どんなもの?
・夏野菜と他の野菜の違い
・夏野菜の健康効果
■作り方は?
・野菜を刻む
↓
・どの肉を炒める?
↓
・水の量は?
↓
・カレールーを溶かす
■その他
・より美味しくなるワンポイント
・野菜を素揚げしてみる?
・カレーには、ウコンなどのスパイスも含まれている。
・夏のカレーは傷みやすい
・夏野菜ドライカレー
全体の順序を並べ替える上で考えなければならないのは、まず「これを説明しなきゃ始まらない」という、前提となる項目を見つけて、できるだけ前に置くことです。
そこで、
『■夏野菜とは?』の説明は、
『■作り方は?』の前へ持っていったほうがいいでしょう。
『■作り方は?』の中では、どうしても夏野菜について触れますので、夏野菜のことを知らずに読む人のために、夏野菜とは何かを先に説明しておかなければなりません。
その
『■夏野菜とは?』グループの内部にある、3つの項目の順番も並べ替えましょう。
夏野菜について説明しなければ、夏野菜カレーを知らない人に対して作り方を語ることができません。
よって、「そもそも夏野菜って、どんなもの?」のトピックを最初に持っていくことになります。
ここでも、「そもそも夏野菜って、どんなもの?」が、他の2つのトピック(「夏野菜と他の野菜の違い」や「夏野菜の健康効果」)を包摂する関係になっています。
『■その他』に入る各項目は、この原稿で、あってもなくてもどちらでも構わない部分です。文字数に制限がある場合は、まず、この中から優先的に削るようにしましょう。
このように、全体構造を洗い出し、各トピックを適切な順序に並べ替えることを
「アウトライン調整」といいます。
「夏野菜カレーの作り方」のように、頭の中でイメージを思い浮かべやすい具体的なテーマなら、アウトライン調整はそれほど難しくありません。
ただ、テーマの抽象度が上がれば上がるほど、アウトライン調整が難しくなります。「グループ分け」「包摂関係」をイメージしにくいからです。
原稿のアウトライン調整は、著者の仕事だと心得ていただきたいです。
「ここは入れ替えるべきですよね」「ここは削りませんか」などと、的確に提案してくださる編集者もいらっしゃいますが、それは幸運な出来事です。