幸せになるための修行。あふれてくるのはありがとうという思いばかり
本書の著者は、優ちゃんのママ。2015年生まれの武藤優司くんは、とてもおとなしい赤ちゃんでした。しかし、生後2カ月になったころから、優ちゃんの体に異変が現れ始めます。最初の危機は、病名もわからないままに肝臓の機能をほとんど失ってしまったこと。著者からの肝移植で危機を乗り越えるものの、今度は肺の機能が悪化し、ついに余命宣告をされてしまいます。ただ見守ることしかできず、苦しむ著者の心を救ってくれたのは、斎藤一人さんとの出会いでした。
斎藤一人さんを著者に教えてくれたのは、ご夫君です。余命宣告よりも前から、ご夫君はその話をしてくれてたにもかかわらず、著者がその話を聞くことを拒んでいたそうです。それはなぜか。斎藤一人さんの教えの元になっているのが「自分が変わる」ことであり、著者自身が変わることが必要だと思えなかったから。著者にとって変わってほしいのは、優ちゃんであり、病気が治って、普通のこどもに戻ってほしかったのです。
“「人は変えられない。変えることができるのは自分だけ」
よく聞く言葉ですが、夫はさらに先まで知っていたのです。「人は苦しくて、どうしようもなくなった時にしか変わろうとしない」ことを……。”
ようやく自分が変わる決意をした著者はご夫君と「天国言葉」だけを使うことを約束します。
天国言葉というのは、「ついている、嬉しい、楽しい、感謝してます、幸せ、ありがとう、ゆるします、愛してます」という人が聞くと気持ちが明るくなる言葉のことです。
天国言葉を使うことで、幸せになるための修行を始めた著者は、日常のさまざまな出来事に感謝できるようになっていきます。
“夫が突然、言いました。
「優ちゃんが、今日も一日生きててくれて嬉しいね。病院の先生や看護師さんに感謝だね」
聞いてて心地の良い天国言葉でした。
「うん、本当に感謝だよね。みんなのおかげ。私には司さん、祥司、優司がいてくれてすごく幸せだよ」
私はそう答えました。”
著者は、時には悩み、時にはうっかり地獄言葉を使ってしまい、反省しながらも天国言葉の修行を続けていきます。人の心には時計のような12時間の針が付いていて、12時ちょうどの向きに針を向けていると、上機嫌で良いことがたくさん起こるのだそうです。そして、いつでも、上向きにしているためには、自分の機嫌を自分でとる必要があります。
そうして、優ちゃんが旅立った時も、お世話になった先生方に感謝の思いを伝え、心の中は“ありがとう”という思いであふれていたと話します。
著者は、精神的に意志が強かったわけではありません。こどもを愛するごく普通のママです。時には、修行を忘れ、思わず感情的になってしまった場面もありますが、その都度、その修行をする意味と、実は修行をしないことのほうがつらいと実感しています。
小さなお子さんの闘病記ですが、どこまでも優しく、やわらかい自己啓発本でもあります。
どうしようもなくつらくなったときに、手に取りたくなる本です。(中山寒稀)
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