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2018 年 07 月 12 日

おでかけは最高のリハビリ! 要介護5の母とウィーンを旅する

著者:

たかはたゆきこ

出版社:

雷鳥社
介護エッセイ

要介護5でも、人生は楽しめる!ウィーン旅行を実現した在宅介護

“介護はある日突然やってくる。なんの予告も前触れも、覚悟する暇さえなしに”

著者が38歳の時、お母さんが脳出血で倒れ、一命はとりとめたものの、在宅介護をすることに。要介護5の認定を受け、バイオリン教師だったお母さんはそれを弾くことすらできなくなってしまいます。その現実に涙するお母さんに、著者から出てきた言葉が「ウィーンに行こう」でした。そこから、著者とお母さんのウィーンを目指したリハビリが始まります。

そもそも、なぜ著者はそこまで要介護5のお母さんに、ポジティブに向き合えるのでしょうか。そこには、著者の家の金科玉条のリハビリ方針があります。

“おでかけこそ最高のリハビリだ。人生を楽しもう!”

著者の一番下の妹さんが重い脳性麻痺による重度障害者であったこと。小学校に上がるまで生きることすら難しいと言われ、入院をすすめられたそうです。ところが、お母さんは「どうせ死んじゃうんだったら、家族一緒に楽しく過ごしてからのほうがいい」といって、強引に連れて帰ってきてしまいます。その後、リハビリの傍ら、動物園や音楽会など、あちらこちらに遊びに連れていっていたところ、やがて、体が丈夫になり、表情も豊かになっていき、妹さんは30歳を超えた今でも、お元気で生活をされているとのこと。

そんな経験が背景にあったこともあり、2年の準備期間を費やし、リハビリ、体力、計画、資金、情報集めなど、さまざまなハードルを乗り越えて、要介護5のお母さんとあこがれのウィーン旅行を実行します。

“身体が不自由になり在宅介護は無理だとさえいわれる状態だった母は、それでも生きる喜びを追いかけつづけ、新しいことに挑戦しつづけ、脳に刺激を与えつづけることによって、ぐんぐんと回復した。 性格や好みは人それぞれだから、刺激を与える方法も人によって異なるだろう。我が家の場合は「おでかけ」が奇跡を起こす。ウィーンへ行きたいという母自身の情熱と、目標に向かって進みつづけることで与えられた刺激が母を回復させたのだ。バイオリニストにとって、これ以上のリハビリがあるだろうか?“

ウィ―ン旅行が実現した根底には、著者やお母さんが常にポジティブであったことは言うまでもありませんが、目標と楽しみを持ってリハビリをすることが大きかったのでしょう。ウィ―ン旅行後、今度はコンサートに出演することを目標に著者とお母さんの2人で一挺のバイオリンを演奏する練習を始めたそうです。「人生は楽しむためにある」というお母さん。妹さんのこともあり、なかなか大変な状況にもかかわらず、本書は一貫して、前向きで明るく語られています。絶対に叶えたい目標を持つと強くなれる。そんな気がしてくる一冊です。(中山寒稀)

   おでかけは最高のリハビリ! 要介護5の母とウィーンを旅する