素人でもできる農業経営
都会での生活に疲れ、「田舎で農業をして暮らしたい」と考える方が増えてきているそうです。でも、経験も、土地もなければ実現は不可能だと考えるのが普通でしょう。そんな、脱サラ農業を目指す方を応援するのが、本書『脱サラ農業の教科書』の著者です。
著者が紹介する「1年後にムリなく就農できる7つのステップ」は次の通り。
第1ステップ 開始~6カ月目 理想のライフスタイルをイメージする
第2ステップ 3カ月~6カ月目 情報を集める
第3ステップ 6カ月~10カ月目 農業体験や農家見学に行く
第4ステップ 6カ月~12カ月 農業シミュレーション
第5ステップ 3カ月~12カ目 理想のライフスタイルを実現する営農計画づくり
第6ステップ 3カ月~12カ月目 農業研修を受ける
第7ステップ 12カ月目 脱サラ~就農
いざ動き出したとしても、脱サラ農業には、お金、農地、地域、技術、法律、経営者などの様々な壁が待ち受けています。その解決方法を提案する一方で、「戦略」に長けているという脱サラならではの強みもあると著者は話します。
例えば、農業のマーケットを分析して、「勝てるマーケットに参入する」。
本書の事例では、トマトをあげています。トマトの販売方法としてメジャーなのが青果のトマト。しかし、メジャーがゆえに競争率が高いのが現実です。そこで、ドライトマトにして販売することで競合が減ります。さらに加工することで、新規就農者の最大の弱点である「未熟な栽培技術」がカバーでき、もしかしたら廃棄するトマトを減らすことにもつながるかもしれません。
著者もかつては、家庭菜園から農業に興味を持ち、「新規就農相談センター」などの窓口に相談に行ったものの、門前払いを受けた経験の持ち主。当時は悔しい思いをしたそうですが、「何をしたいのか」「何のための農業なのか」が著者本人ですらわからない状況であったので、仕方がなかったと話します。しかし、今、農業人口が減り続ける中で、新規就農者を増やすための支援が加速しています。脱サラして、農業をすることは不可能ではなくなってきているのです。
本書は、農業に関する「ビジネス本」。サラリーマンだからこそ、わかりやすい目線で「農業」について書かれています。挑戦するかどうかは別にして、「農業」に興味がある方は、読んでみてはいかがでしょうか。(中山寒稀)
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