物が売れにくい時代と言われる昨今、マーケティングの重要性が注目されています。当たり前のように語られる、マーケティングツールや専門用語、手法など、実はよくわからないなんてことはないでしょうか。本書の主人公も「知っていて当たり前のマーケティングの知識」を持たない若手社員。マーケティングのベテランたちに教えを乞い、成長していきます。
主人公は、吉田真二。営業部からマーケティング部に異動してきたばかりの若手社員です。就職活動中の学生から、経営理念やマーケティング、経営戦略などに関する質問を受け、的確な答えが見つけられずに言葉に詰まってしまいます。その場は何とか繕ったものの、まともに答えられなかった悔しさをきっかけにマーケティングに興味を持ち始めます。
真二が学生に問われ、戸惑ったことの1つに「4P」があります。4Pとはマーケティングミックスのこと。
“マーケティングミックス
Product 商品
Price 価格
Place 流通
Promotion プロモーション”
4Pは、マーケティング戦略を考える際の基本的な要素をまとめたもの。マーケティング部の山崎課長は4Pの役割について、次のように説明しています。
“マーケティング戦略を考えるには大小さまざまな要素を考えていかなければならないわけだが、やみくもに考えてもまとまらない。そこで、この4Pに分類して考えていくことが基本となってきたんだね。実際、企業の活動を見てみると、商品やサービスを導入・展開していく活動は大きく4Pを外れることはないと思うよ。誰が考え出したか知らないが(米国の学者、E・J・マッカーシー)、われわれも助かっているわけだ”
また、マーケティングの世界でよく語られる話で、ホームセンターに電気ドリルを買いに来た客は、穴を求めている。電気ドリルは、あくまでも穴を手に入れるための手段であるという例をあげ、企業からの視点だけでなく、顧客の視点で考えることも必要だとも山崎課長は話します。
『企業視点』の「4P」に対し、『顧客視点』である「4C」は次のようになります。
“Product →Customer solution 顧客の問題解決
Price →Cost 出費
Place →Convenience 利便性
Promotion →Communication 相互情報伝達”
物語に沿ってマーケティングのノウハウを学べるので、専門書は苦手という方も読みやすいと思います。また、身近な事例がたびたび登場することで、マーケティングをリアルに感じられるかもしれません。マーケティングの基礎を学んだ真二が今後、どんな活躍をしていくのか、ちょっと気になるところです。
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マーケティング部へようこそ!(五味 一成/時事通信出版局)