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2018 年 03 月 13 日

地域で愛される子ども食堂 つくり方・続け方

著者:

飯沼 直樹

出版社:

翔泳社

善意のバトンリレーが生まれる子ども食堂のつくり方

子どもの貧困対策のための場所というイメージが強い子ども食堂ですが、実は子どものためだけの場所ではないといいます。そこにかかわるさまざまな人にとって大切な場所になっていく、そんな子ども食堂のつくり方を紹介しているのが本書になります。著者は、静岡市子ども食堂ネットワーク理事長。6つの子ども食堂の立ち上げにかかわった、ノウハウを紹介しています。

そもそも、子ども食堂とはどんな場所なのでしょうか。

“私は地域に住んでいる子どもたちのための場であり、利益を追求することなく食事を提供する活動であれば、「子ども食堂」といってよいと考えています。

だからこそ、子ども食堂にはできることがたくさんあります。実際に、子どもの貧困支援だけでなく、ひとりでご飯を食べる「孤食」の対策や、お母さん・お父さんの子育て支援、さらには食育や地域活性化など、さまざまなテーマを掲げる子ども食堂が誕生してきています。”

しかし、そんな子ども食堂をつくりたくても、難しいのが現実。善意だけではなかなか実現しない、続かないと著者は話します。子ども食堂の開設に向けて必要なこと、解決しなければいけないこと、また、保護者や子どもたちとの接し方や心の問題など、考えなければいけないことはたくさんあります。そんな問題に直面した時の乗り越え方や解決法を紹介し、あくまでも「子どものため」という軸がぶれないことが大切だと著者はアドバイスしています。

“子どもたちの今を助けつつ、将来大人になる、子どもたちに善意の記憶とさまざまな思い出を受け渡していきましょう。それができれば、大人になった子どもたちが、また新しい形で地域とそのときの子どもたちのために素晴らしい活動をしてくれるかもしれません。

私は子ども食堂の活動が、そうした善意のバトンリレーにつながっていくことを期待しています。”

子ども食堂の運営は、今、困っている子どもを助けるだけではなく、まだ見ぬ未来の子どもたちを助けることにもつながっていくのかもしれません。また、子ども食堂を支えるスタッフにとっても、生きがいや居場所になり、地域のコミュニティの活性化にもつながっていくとのこと。

「あったらいいな」と思う子ども食堂を実現するための本です。その運営は、決して簡単ではないことも書かれています。ただ、思いがこもった子ども食堂は、子どもたちにとって、お母さん、お父さんにとって、それを支える人にとっても、かけがいのない居場所になっていくのかもれません。(中山寒稀)

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