“妻と二人で房総半島の真ん中辺りを ドライブしていたとき、
ツートンカラーの かわいらしい2両編成の列車を見かけた。
後を追うと、ひなびた田舎の駅にたどり着いた。
そこで私たちは、3匹の猫たちに出会った。“
小湊鐡道 養老渓谷駅には、3匹の猫がいる。
ある時、住みついていた雌猫が何匹もの子どもを産み、その後、命を終えてしまったそうです。きょうだい猫たちはそれぞれもらわれていったものの、残った3匹は駅長さんが育てることに。
猫は警戒心が強いはずなのに、著者のカメラをまっすぐに見つめる駅猫たち。ものおじせずに穏やかで豊かな表情を見せるのは、駅長さんからも、駅の利用者からも大切にされている現れでしょうか。それでも、外猫ならではの厳しい環境を生き抜く猫たちには、どこか逞しさと野性味があります。
前の年には3匹で集まって暖を取っていたクリスマス。ところが、翌年には、看板猫の「ユウタ」が亡くなり、育ててくれた駅長さんが転勤でいなくなってしまいます。2匹で寄り添って過ごすクリスマスは、なんだか寂しそう。
春には菜の花、秋には紅葉。昭和を思い出すローカルな駅に、昔懐かしい2両編成の列車。毛づくろい、おやつの取りあい、のんびりお昼寝。何気ない日常の表情をとらえた写真を見ていると、なんだか猫たちに会いに行ってみたくなります。(中山寒稀)
駅猫Diary 猫のくつろぐローカル線をたずねて