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2017 年 02 月 07 日

ビジネスとしての介護施設 こうすれば職員が定着する

著者:

志賀弘幸

出版社:

時事通信社

「介護の仕事はきつい」「介護は労働のわりに賃金が安い」というあまりよろしくないイメージが強い介護業界。実際に、私の周りでも介護職に就いたものの、それほど長い期間を経ずに離職してしまう方が多くいます。一度は介護職を志しても、離れてしまう理由はどこにあるのか。それを解消するカギを提案しているのが本書です。

介護現場は3K「きつい、汚い、給与が安い」だと言われています。それが、介護職を敬遠する理由の一つ。その3Kは事実であり、どうにもならないことなのでしょうか。

“他の業界と比べて介護現場が苦手としていることは、「既存の業務を変えること」だと私は思っています。今までやってきた方法、段取りに対して、変化をもたらすことへの抵抗感が強い業界です。”

実は、3Kのうちの2Kである「きつい、汚い」は、介護ロボットやIT化など、新しい技術を取り入れることで負担の軽減につながります。さらに、介護現場は「カイゼンの宝庫」であり、経営者や管理者が現場に目を向け、職員の仕事を効率化することを考えれば、仕事はもっと楽になると著者は考えています。

また、残りの1Kである給与に関しては、時間給制度のパート職員が多いこと、給与が高い働き盛りの40~50歳の年齢層が少ないことにより、平均すると賃金を下げてしまっているのが原因。つまり、介護業界全体で賃金水準が低いわけではないのです。

“私は介護という仕事は新3K「希望、感動、感謝」であるとお伝えしています。ご利用者の希望を叶え、ご利用者が目標を達成したときの感動を一緒に味わい、ご利用者、家族から感謝される仕事です。”

著者は、介護ほど感謝される仕事はないことを、職員や経営者にもっと知ってほしいとも言っています。実際に利用者である著者のお母さんは、いつも「ありがたい、ありがたい」とデイサービスのスタッフに対する感謝のことばを口にするそうです。ただ、人対人であるがゆえに、なかなかそれがスタッフに伝わらないことも多いのが現実。それならば、代わりに感謝を伝えたり、しっかりと評価するなど、経営者や管理者が補う方法があるのです。

介護業界は、利用者の満足度ばかりに意識が向きがちですが、利用者が幸せになるためには、そのお世話をする職員が幸せであるべき。職員が幸せで満足していれば、その事業所に定着するため、結果的に事業所を運営する経営者も安定して幸せに。考えてみればとても単純ですが、なかなか気が付きにくい理論です。

介護業界で大切なのは、職員の「ココロの充実」と「働く環境の向上」。やがて、自分が介護サービスの利用者となった時、充実したサービスも魅力的ですが、その仕事にやりがいを感じている介護職の方にお世話になることができれば、それが幸せのような気がします。(中山寒稀)

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