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2016 年 09 月 15 日

脳にきく色 身体にきく色

著者:

入倉隆

出版社:

日本経済新聞出版社

世の中はたくさんの色であふれています。もちろん、それが当たり前なのですが、その色から心も体も影響を受けているかもしれません。

イライラするような環境にいた時、「早く時間が過ぎないかな」と思うことがあります。例えば、満員電車や長蛇の列になっているスーパーのレジなど。その時間のストレスは色で緩和できるのだそうです。

“光の色が人の時間感覚に影響を及ぼすことがあります。同じ時間の経過に対して、赤い光のなかにいると実際より長い時間が経過したように感じ、青い光のなかでは実際より短い時間しか経過していないように感じるのです。”

この実験の結果、赤色光と青色光で感じる時間は20%もの差がありました。これを利用して回転率を上げたいファストフード店では壁の色に暖色系を使っている場合があるのだそうです。逆に、長時間、待つ可能性がある場所では、寒色系を使うとイライラを和らげる効果があるかもしれないとのこと。

さらに色は、勉強にも影響があるかもしれません。

暗記をする時によく利用する蛍光ペン。その代表的な色、ピンク、イエロー、グリーンを下線で引いた場合と、文字を覆うようにマーキングした場合の記憶効果を比較する実験を行いました。

その結果、試行回数が少ない時はグリーンが効果的でしたが、回数を重ねるとピンクが最も効果が高いという結果に。これは、グリーンは目が疲れやすいことが影響しています。また、下線を引くよりも覆うようにマーキングをしたほうが記憶力は増すようです。

つまり、記憶を向上させるためには、ピンクで覆うようにマーキングすることが効果的だということになります。

そのほか、色には、癒し効果、体感温度のほか、料理がおいしく見える皿、創造性を高める色など、思いもよらぬところに影響があるとのこと。日常的にあって当然の「色」だからこそ、その効果に好奇心をそそられます。今後は、好き嫌いだけでは、色を選べなくなりそうです。(中山寒稀)

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