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2016 年 08 月 30 日

シニアのなっとく家計学 老後のお金はこれで足りる!

著者:

梅本正樹

出版社:

水曜社

マスコミでは、「老後破産」という言葉がたびたび取り上げられています。「とにかく老後のための資金をたくさん貯めなきゃいけない」という風潮があり、不安を抱えている方が多いようです。本当に老後のために必要な資金はいくらなのでしょうか。

1000件を超えるシニア世帯の家計健全化に貢献してきた税理士でファイナンシャルプランナーである著者はこう言っています。

 “「すべてのシニア世帯に、一律に必要な老後貯蓄額というものは存在しない!」”

 

その理由は、シニア世帯の生活費、収入、資産状況、親から受ける贈与相続額、余命が複合的に影響し合うため、各世帯によって必要な資金が大きく異なるからだそうです。

必要な老後貯蓄額を考える際、注目すべきは「シニア剰余金」だとのこと。シニア剰余金とは、入方「収入+資産」と出方「支出+負債」の単純差額です。その算出方法は次の通りになります。

“(1)まず、お手元にA4用紙をご用意ください。なければ、新聞チラシの裏で構いません。

(2)その用紙の真ん中に縦に線を引いてください。次に線の左側の真ん中に横線を、右側に3等分するように横線を2本引いてください。

(3)左側上段の箱には「収入」下段には「資産」と、右側上段には「支出」中段には「負債」下段には「シニア剰余金」と記入してください。“

「シニア剰余金」以外の欄に具体的な数字を記入していき、左側と右側の差額が「シニア剰余金」になります。

著者曰く、このシニア剰余金がマイナスにさえなっていなければ、心配はいらないとのこと。つまり、収入や資産が、支出や負債を上回っていなければいいのです。では、もしマイナスだった場合は、どう解決すべきなのか。

“(1)「収入」増加策を実施…リタイヤ時期の繰下げや賃貸収入の検討など

(2)「支出」削減策を実施…家計支出全般の見直しなど“

もし、家のローンなどのまとまった負債額があったとしても、月々の負担に分割して考えると、案外、何とかなってしまう額に収まるが多いそうです。

具体的な数字を出して考えれば、実際の老後の資金の考え方は、とてもシンプル。そして、早い時期から対策をすれば、解決することは難しくはありません。老後のことを考えているつもりでしたが、実際には大雑把な計算に曖昧な予測。どうやら不安はそこから生まれていたようです。(中山寒稀)

シニアのなっとく家計学 老後のお金はこれで足りる!