就職活動で注目を集めるのは希望の職種や業界、より条件のよい企業を求めて活動する応募者でした。そのための就職活動や自分を売り込む面接術などのマニュアルが多く出版されています。それに対し、採用する側の企業が優秀な人材採用に向けて自社を売り込む、いわば「採用活動(サイカツ)」のノウハウをまとめたのが本書です。
著者は「採用面接士資格」を立ち上げ、独自の採用活動メゾットを開発・整備するなど、採用面接のプロを養成してきました。「優秀な人材は大企業にとられてしまう」という思い込みを覆し、中小企業でも採用に成功する方法を紹介しています。
“自社に合った優秀な人材を採用できれば、どんどん活躍してくれるので業績も上がりますが、逆に自社に適さない人材を採用すれば、想像以上のリスクを抱えることになります”
著者曰く、採用の時点でミスマッチがあると、すぐに辞めてしまったり、他の社員に悪影響を及ぼすモンスター社員に化けて、職場のモチベーションを下げてしまうこともあるとのこと。しかも、不利益を及ぼすような社員は、会社側から辞めさせることは困難というのが現実です。そのため、会社にとって必要な人材だけを見つけだし、採用することが必要になります。
特に採用活動の中で注目したのが「面接テクニック」です。著者がすすめる「できる人材を見抜く5つの魔法の質問」があります。たった5つの質問をするだけで、応募者を見抜くことができるそうです。
“質問1 朝、何時に起きますか?”
この質問で、勤労意欲、目標達成力が見抜けるとのこと。「早起きは三文の徳(得)」というとおり、早起きの人は徳(得)があり、仕事ができるそうです。
“質問2 あなたは幸せだと思いますか?”
「幸せではない」と答える人は不満を抱えやすく、組織への定着度が低くなります。
“質問3 他に何か質問はありませんか?”
面接で必ず聞かれる質問です。それにもかかわらず質問を準備してきていないということは、想像力が足らず、本気度が低いということになります。
“質問4 当社の社長の名前をいってください”
この質問に答えられない人は事前準備や調査力が足りないそうです。
“質問5 前職を退職した理由を教えてください(中途採用の場合)”
辞めるスイッチが入る方向性やストレス耐性がわかるとのこと。
今まで「面接される側」の立場でしか考えたことはありませんが、確かに「面接する側」になってみれば、限られた時間の中で相手のことを知り、自社にとって必要な人間を選ぶのは容易なことではありません。より効率よく相手を知るとスキルは大切だと感じました。
また、採用面接で「熱意」を伝えることは、応募者だけではなく、企業側にとっても必要だと思います。
「人は財産」というとおり、企業にとって、採用活動は財産を得る場面ということではないでしょうか。
(中山寒稀)
低予算でも、欲しい人材だけが来てくれる!社長・人事・総務のための新しい採用活動(サイカツ)の本