病気で苦しむ人、貧しい人のために人生を捧げた修道女として知られるマザー・テレサが亡くなってから、20年近くが経ちます。今もって、彼女の生き方と残したメッセージの力強さは全く色あせるどころか、世代を超えて多くの人の心を掴んでいるように思います。
本書は、最重度専門の障害者施設で働く著者が、マザー・テレサが残した数多くのメッセージの中から、「幸せになる勇気」を軸にまとめあげた格言集です。
あなたは、あなたであればいい。
このマザー・テレサの言葉に対し、著者はこのような「意味づけ」を行っています。
人は「何か失って、初めてその価値を知る」生き物と言われています。
私には「何もない」なんて考える前に、
素敵な財産を持っていることに目を向けてください。
それは、あなた自身です。
誰もが平等に持っている唯一無二のものが自分です。まずは、それを大切にすべきということです。あって当たり前だと思っていたものが、本当は一番、大切なのかもしれないと気づかせてくれました。マザー・テレサが残した言葉の数々は、シンプルでやさしい表現のものが多くありますが、中には、人間の弱さや醜さをついた厳しい言葉も存在します。
誰かがやるだろうということは、
誰もやらないということを知りなさい。
あなたがやりなさい。
今、貧困について語ることが一つの流行になっています。
しかし、残念なことがあります。
貧しい人々と一緒にいることや、
共に語ることを、人はあまり好みません。
マザー・テレサの言葉と、そこに添えられている著者のコメントやエピソードから、教えの深さ、大切さを実感することができます。幸せについて、人生について考えさせられる一方で、心が穏やかになる一冊です。(中山寒稀)
幸せになる勇気 超訳マザー・テレサ