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2015 年 06 月 06 日

東大医学部を出て議員になった私から投票したい政治家がいないあなたへ

著者:

清山知憲

出版社:

楓書店

公職にもかかわらず、意外と知られていないのが政治家という職業。本書は、東大医学部出身の現役医師でもある著者が、宮崎で県議会議員を務めながら、国民の持つ「政治家のなぜ?」に答えるべく、政治家の実情を書いています。選挙の裏側から、政党、議会の仕組み、政治とカネ問題まで、政治家と一般の医師という2つの視点を武器に、とてもリアルにわかりやすく解説しています。

とりわけ、当選後

「あいつは選挙の前だけ挨拶に来て、終わってからは知らんぷりだ」と言われているぞと忠告を受けました
は、とても納得ができる話。
公職選挙法では、選挙に関するお礼などの挨拶を目的とした選挙人への戸別訪問やお礼状の発送、当選祝賀会の開催が禁じられており、感謝の気持ちをストレートに伝えることが困難なのです。
つまり、政治家の側から言えば、「お礼をしたくてもできなかった」と言うことになります。言い方を変えると、禁じられてない方法があり、それを駆使してお礼をすべきだったと後悔されていたのが、いかにも新人らしく好感を持てました。このように、政治の世界には、いまでもとてもわかりにくいルールがあり、政治家ですら迷っています。国民から見れば、さらに曖昧でグレーに見えるのです。

ほかにも、マスコミを騒がせた政治関連の出来事や、著者の失敗談、悩みなどがわかりやすくかかれており、ノンフィクションの読み物としても、楽しめます。政治家を志す方、政治のうんちくを語りたい方におすすめなのはもちろん、選挙戦の前に読むと政治がより身近に、そしておもしろくなる一冊です。(中山寒稀)

楓書店